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SEMICON Japan 2024

 

島津製作所、大気・液中でも真空中と同様の超高分解能で表面観察を可能にするFM方式のSPM

島津製作所「SPM-8000FM」 島津製作所は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)のフラッグシップモデルとして、周波数変調方式(FM方式)を採用した高分解能走査型プローブ顕微鏡「SPM-8000FM」の販売を開始した。

 同品は、薄膜、結晶、半導体、有機材料等の試料に対し、大気中・液中においても真空中と同様の超高分解能での表面観察を可能にする。さらに、固体と液体の界面(固液界面)における水和・溶媒和の観察が可能になり、固液界面の構造計測装置としても応用できる。リチウムイオン電池の電解液と電極の界面で起こる構造変化や、脂質など生体分子の液中での構造観察が可能になるなど、電子デバイス、ナノ材料、触媒、生体材料など多くのナノテクノロジー分野における研究開発の新たな展開につながる。

 SPMは一般に、微小な板であるカンチレバーを細かく振動させながら試料表面に近づけ、カンチレバー先端に一体成形された探針が受ける相互作用力(原子間力)を検出することで、試料の表面観察を行う仕組み。その検出法には振幅変調方式(AM方式)と、よりノイズを低減できる周波数変調方式(FM方式)があり、FM方式を採用したSPMはHR-SPM(High Resolution Scanning Probe Microscope)カテゴリに分類され、AM方式と比べて感度と安定性が高く分解能が良いことが特長だという。しかし一方FM方式には、大気中や液中では環境の粘性抵抗や吸着水の影響などによって検出感度が大きく低下するという問題があったため、FM方式はこれまで主に真空中での観察に利用されていた。

 ナノテクノロジー分野では、真空中だけでなく、実働状態に近い環境において原子レベルで構造観察と物性計測を行い、試料の特性を精密にとらえたいという強いニーズがあり、同社はこのニーズに対応するため、京都大学などと共同で研究開発を進めて今回の製品化となった。