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SEMICON Japan 2024

 

岩崎電気など、活性酸素の表面作用量モニターを開発

開発した活性酸素検出モニター用の水晶素子:素子表面にそれぞれ異なる種類の有機系薄膜がコーティングされている 開発した活性酸素検出モニター用の水晶素子:素子表面にそれぞれ異なる種類の有機系薄膜がコーティングされている  岩崎電気( http://www.iwasaki.co.jp )、東海大学、産業技術総合研究所( http://www.aist.go.jp )はこのほど、水晶微小天秤(Quartz Crystal Microbalance, QCM)法を利用した新しい活性酸素検出モニターを開発した。

 活性酸素は、紫外線(UV)ランプや大気圧プラズマなどを用いた表面処理プロセス分野に幅広く利用されているが、これまでその作用量を簡便に計測できる手段がなかったという。空間中の活性酸素計測手法としては、レーザー誘起蛍光法や真空紫外吸光分光法などが知られているが、いずれも計測装置の価格が数千万円以上と高価で、また装置そのものが大型という欠点があった。

 今回開発した手法では、水晶振動子上に形成した有機系薄膜と活性酸素との反応による薄膜質量の変化量を水晶振動子の共振周波数の変化量として計測することができ、活性酸素の表面作用量を連続的にモニタリングすることが可能になった。

図1:水晶微小天秤(開発品)の外観  左:水晶微小天秤センサーヘッド部。右上のヘッド内部に黒く見えている箇所は、表面にポリイミド系の有機系薄膜をコーティングした水晶振動子が挿入されているため、活性酸素の検出面として作用する。 右:異なる種類の有機系薄膜をコーティングした水晶振動子。左手前はポリイミド系、右奥はフッ素系の有機系薄膜をそれぞれコーティングしたもので、測定環境に応じて使い分けが可能。図1:水晶微小天秤(開発品)の外観  左:水晶微小天秤センサーヘッド部。右上のヘッド内部に黒く見えている箇所は、表面にポリイミド系の有機系薄膜をコーティングした水晶振動子が挿入されているため、活性酸素の検出面として作用する。 右:異なる種類の有機系薄膜をコーティングした水晶振動子。左手前はポリイミド系、右奥はフッ素系の有機系薄膜をそれぞれコーティングしたもので、測定環境に応じて使い分けが可能。

 図1は、活性酸素検出モニターの水晶微小天秤センサーヘッド部の写真。水晶振動子上に形成される有機系薄膜の材料を変えると、活性酸素検出感度が変化するため、用途に応じて使い分けることができる。この開発品は、産官学が連携して産み出した成果であり、表面処理プロセスの活性酸素作用量モニターとしての応用が期待され、工程歩留りの向上に道筋を拓くものとなる。

  今回開発した活性酸素検出モニターは、2011年中に、岩崎電気より150万円以下での装置販売を行う予定。さらにこの装置を用いて、表面処理プロセス中の活性酸素作用量のモニター結果と、実処理効果(洗浄、改質、殺菌など)との相関関係を明らかにし、処理速度の向上、最適化、新たな表面処理装置(滅菌装置等)の開発に繋げたいと考えている。