ネプコンジャパン2015/オートモーティブワールド2015に見る表面改質技術
1月14日~16日、東京・有明の東京ビッグサイトで、エレクトロニクス製造・実装技術展「ネプコン ジャパン2015」 (インターネプコン ジャパン、エレクトロテスト ジャパン、半導体パッケージング技術展、電子部品・材料 EXPO、プリント配線板 EXPO、微細加工 EXPOから構成)と、「オートモーティブ ワールド2015」(国際 カーエレクトロニクス技術展、EV・HEV駆動システム技術展、クルマの軽量化技術展、コネクティッド・カーEXPO、自動車部品 加工 EXPOから構成)などが同時開催された。
ネプコンジャパンでは、年々進むエレクトロニクス機器の高機能化・高性能化を支える、最新の製造技術・実装技術が出展され、オートモーティブワールドでは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)などの最新の自動車技術やエンジン車の燃費改善につなげる軽量化手法などが示された。いずれの展示会でも、表面を改質することで、機械的特性や電気特性を改善する表面改質技術が展示された。
ネプコン ジャパンの出展を見ると、カナックがSUS製リフローチェーンのメンテナンス回数を減少させる表面処理としてガス窒化処理「Kanuc(カナック)」を提案。500度前後の加熱雰囲気中に数時間ワークを保持し、鋼表面から窒素を拡散浸透させ金属元素と反応させることで硬化層を生成。これによりSUSが1300HV以上の硬さになり、無給油での操業が可能になるとした。摩耗軽減されるため、コンタミ防止効果も高く、スプロケットやレール等に処理しても効果的だという。
野村鍍金は、めっきのほかにDLCコーティングを紹介。「タフ カーボン」は、成膜温度が100度以下の低温成膜で硬さ5000HV、耐熱温度500度以上を実現した。離型性も良好であるため、超微細金型に適用してもはんだ、アルミ等が付着しない点などを紹介した。また、半導体・電子部品向けプローブなどへの適用を提案した「タフ コンダクター」は、DLC膜に導電性を付加。硬さ4000HVを維持した上で体積抵抗5×10-3Ω・cmの低抵抗を実現した。さらに同社では、抵抗値を1.0×10--3Ω・cmと体積抵抗を1/5に抑えた「新タフコンダクター」も紹介した。
一方、オートモーティブでは清水電設工業がプレス金型や抜き金型など、過酷な状況下で使用される金型に対して優れた耐摩耗性を実現する「ZERO-Ⅰコーティング」を提案。被膜の硬度は3500HVで、耐熱性においては1100℃を実現。焼付きの原因となる冷間鍛造での摩擦熱による酸化や温間鍛造にも対応している。さらに、応力緩和の技術により高密着性と厚膜化を両立。これにより、耐摩耗性を向上させるとともに弾性変形の抑制効果を上げることが可能となった。高硬度皮膜のため、母材はハイス鋼以上を推奨。用途によっては窒化やショットピーニングとの複合処理を推奨している。
日本高周波鋼業グループのカムスは、ハイテン材冷間プレス加工等の高負荷のかかる成形金型において金型の耐久性を向上させるPVDコーティングとして「MACHAON(マカオン)コート KS-G」を提案。この技術は基材上に密着・基材保護層としてCr系被膜を5μm、耐摩耗・耐熱層としてTi系被膜5μmの二層で構成することにより、高い耐面圧性と耐熱性を有しており、金型の耐久性を向上する。東洋ドライルーブは、フッ素等の潤滑性物質と速乾性の溶媒を使用し、金属・樹脂・ゴム等の対象物に塗布することで、ドライもしくはウェット状のふっ素被膜を薄膜で形成する速乾性潤滑剤「LUBICK」や、一昨年から受託加工を開始したDLCコーティングを紹介した。
また、フッ素樹脂コーティングの受託加工専業のフロロコートは、フッ素樹脂コーティングの特性である耐熱性、難付着性、すべり性を損なうことなく、耐摩耗性、密着性、硬度などを向上させた「ハードA(エース)」を紹介。この被膜は、基材に対して溶射により硬質層を形成し、表面にフッ素樹脂コーティングを被覆した複合プロセス。被膜サンプルに対して耐摩耗性試験を行う様子を展示するとともに、自動車分野の用途としてテールランプ熱溶着用金型やタイヤ用金型に使用された事例などを示した。
熱処理関連では、高砂工業が従来の真空浸炭炉と比較して安全性や操作性を重視した真空浸炭炉「TVC 真空浸炭炉」を紹介。省エネに配慮した新しい真空浸炭炉操業支援ソフトを拡充し、最適条件を容易に選択することを可能にした。また、浸炭処理時間は昇温から油焼入れ完了までのサイクルタイムが従来の炉と比べて30~45分の削減が可能になったことなどをPRした。さらに、新製品として従来、洗浄において10分を擁していた乾燥時間を特殊真空ポンプの開発により1〜2分に短縮する「TVD 真空洗浄機」も紹介。同洗浄機の導入により効率の高い熱処理工程を実現するとした。