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SEMICON Japan 2024

 

日本テクノなど、精密送りねじ製造・販売のモーションファイブを設立

モーションファイブ「ハイブリッド滑りねじ」 各種熱処理設備販売や受託加工を行う日本テクノ( http://www.nihon-techno.co.jp )、精密転造ねじ製造の池原工業、真空熱処理受託加工のマエバシ熱処理( http://www.maenetsu.com )、切削加工のジュコー精機、工業系総合商社のエスアイドゥ( http://www.sidou.co.jp/ )の中小企業5社は、精密滑りねじなどを製造・販売するモーションファイブ(椛澤 均社長)を設立した。まずは5社で共同開発した滑りねじ「ハイブリッド滑りねじ」を4月から販売、ボールねじについても開発を行っている。

 滑りねじやボールねじといった送りねじは、回転運動を直線運動に変換する機械要素部品。自動車や工作機械などの各種機械装置の送り機構や位置決め機構などに用いられている。このようなねじ軸やナットには、耐摩耗性や疲労寿命の向上を目的に浸炭焼入れや高周波焼入れなどによる表面硬化処理が行われるが、特にねじ軸においては焼入れ時の加熱、冷却に伴う熱変形によって寸法や形状が変化する問題があった。また、従来の滑りねじは安価であるがガタ(バックラッシュ)が大きく短寿命であり、ボールねじは高精度・長寿命であるが高価であるといった問題があった。

 同社が開発した滑りねじ(および開発中のボールねじ)は、ねじ軸に窒化を行い、その表面にグラファイトを主成分とした炭素膜を付与するカーボン膜複合窒化「スーパーマルチナイトプロセス」を採用。この複合表面処理と精密転造技術を組み合わせることによりバックラッシュがなく、長寿命で安価な滑りねじの開発を実現した。ナットにはカラーアルマイトを施すことで硬度を付与し、さらに様々な色のバリエーションに対応できるようにした。開発中のボールねじについても、滑りねじと同様の処理を行う予定で、これにより精度は一般のボールねじと同等で、製造原価は半額という精密転造ボールねじが製造できることを確認しており、現在販売の体制を整えている。また、滑りねじとボールねじの軸にカーボン膜複合窒化を採用したことにより耐食性や潤滑性、制振性を向上することが可能となり、各種機械の運転時における騒音や振動を大幅に低減できるという。

 椛澤社長は、「中小企業の要素技術を併せた商品を開発することで、自ら国内の加工を創出する」としており、今後順次製品を投入していく予定だ。