JASIS2015開催、表面試験・評価機器が一堂に集結
日本分析機器工業会と日本科学機器協会は9月2日~4日、千葉市の幕張メッセ国際展示場で、分析機器・科学機器の総合展示会「JASIS2015」を開催した。「未来発見」(Discover the Future.)をテーマにアジア最大級規模の497社・団体、1472小間が出展した。ここでは、表面試験・評価に関連する製品・技術展示について紹介する。
新東科学は、各種摩擦摩耗試験機を出展。実機を展示した「HHS2000/3000」は、1回の測定で、摩耗回数、垂直荷重、摩擦力、摩耗体積の関係を示す三次元摩耗形態グラフ作成、摩耗の遷移に対応する臨界荷重の決定ができる荷重変動型摩擦摩耗試験システム。無駄な試験片を必要とせず、試験時間を大幅に短縮することに加え、煩雑なデータ解析を解消して測定データを得ることができる。測定要素は荷重変換器による抵抗力測定、変位計による摩耗量、摩耗痕、引掻き深さ測定がある。また、オプションの「トライボCCDシステム」を併用することにより、摩耗粉の挙動解析・潤滑剤の移動状態など、さらに進んだ試験を行うことができる。展示では、製品のPRを行うとともに受託試験の案内も行った。
協和界面科学は主力の接触角計とともに自動摩擦摩耗解析装置「TSf-502」の実機を展示した。同品は、独自の機構であるクランク形状二軸天秤の採用により不要な力を検出せず、正確な摩擦の波形取得を実現した自動摩擦摩耗解析装置。同装置の標準繰返測定は最大12回まで繰返し往復運動をして静・動摩擦係数測定を行う。往復測定か往路のみの測定かを選択可能で、往路のみの場合は天秤を自動でピックアップし原点位置まで復帰する。連続静摩擦測定では、設定した移動速度、距離、回数で連続測定を実施する。試料変更測定においては、ステージのハンドル操作で試料もしくは測定位置を変更して静・動摩擦係数測定を行う。また、回数依存、荷重依存、速度依存、停止時間依存の4種の依存性評価が行える。
アントンパール・ジャパンは、振動式密度・濃度・比重計、粘弾性測定装置、自動マイクロ粘度計、スタビンガー粘度計、ゼータ電位測定装置等とともに機械的特性を計測するスクラッチ試験機や摩擦摩耗試験機、ナノインデンテーションテスタの実機を展示した。インデンテーション測定では、「ウルトラナノインデンテーションテスタ」で、700℃までの高温環境でノイズや熱ドリフトなくナノ領域の変位の正確な計測を可能にする装置の開発や、温度制御機能や湿度制御機能などを備え生体組織のインデンテーション試験を可能にする装置の開発を行っているという。また、卓上式のインデンテーション・テスタにAFM(原子間力顕微鏡)を搭載することが可能になり、コンパクトなスペースで測定およびビジュアルデータを取得することが可能になったことなどを紹介した。
東陽テクニカは、表面や内部の構造解析・物性評価を行う分析機器を紹介。同社が販売を行うカールツァイス社のFE-SEMは、独自のカラムデザインを採用し、試料に減速用のバイアス電圧を印加せず、極低加速での観察を可能とし、その時の二次電子と反射電子を分離収集できる。これにより、得られたコントラストが何に起因するかを多角的に判断できるデータを提供する。さらに、FE-SEMにSPM/AFM、ナノインデンター、X線CTの機能を追加することで、ナノスケールの形態観察と組成分析だけでなく、物理・電気・機械特性の解析、内部構造の観察など、材料解析に必要な多くの情報を得られるようになることなどを紹介した。
パルメソは、材料表面の摩耗量の変化を摩耗率という指標で表すことで、様々な材料の深さ方向の表面強度を比較することができる「MSE試験装置」と、この技術を応用して開発された分析前処理用エッチング装置「PERET(ピーレット)」の実機を展示した。ピーレットは、セラミックスや樹脂、ゴム、金属など様々な材料表面において変質なくサブミクロン分解能のエッチングを可能にしたことにより、XRD、ラマン分光、SEM、X線残留応力などの深さ方向分析が行える。短時間処理を行えることや、簡易な操作、最小エッチング深さ10nmと高分解能が可能な点などを利点として拡販を図る予定。現在、販売予約を受け付けるとともに顧客からのサンプルテストにも対応している。
リガクは、ショットピーニングされた鉄鋼材料表面の残留応力評価に使用できる可搬型X線応力測定装置「SmartSite RS」の実機を展示。同品は小型(幅114×奥行き248×高さ111mm)、軽量(3kg)を実現したヘッドユニットにより、内径200mmの配管内部を測定可能。対象物が屋外の構造体であれば、標準装備のキャリーケースに入れて持ち運び、その場で応力測定することができる。電源確保が困難な場所でもオプションのバッテリーによって駆動することもできる。短時間で測定できることも大きな特長で、高感度なピクセル型半導体2次元検出器を採用したことで、一般的な試料をわずか60秒で測定できる。
大塚電子は分光干渉法と自社製高精度分光光度計を利用した膜厚測定機「FE-300」の実機を展示。反射スペクトル測定により、非接触・非破壊でサンプルを傷つけることなく膜厚を測定できる。また、同機のハイエンドモデルとして「FE-3000」を紹介。最小3μmの微小エリアの測定を行うため、サンプルが例えばドリルやシャフトのような3次元形状がある場合でも、その頂点や底面といった測定光学系の軸に対して垂直なポイントは、平板と同じように水平とみなして測定することができるという。測定範囲は1nm~1mmまでと幅広い膜厚に対応しており、多層膜の測定も可能なことから、DLC膜や有機EL、半導体レーザ内光学膜、樹脂膜の膜厚・膜質解析に実績がある。