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SEMICON Japan 2024

 

田中貴金属工業、長寿命・低価格なカドミウムフリー電気接点用クラッド材を開発

クラッド材クラッド材 田中貴金属工業( http://pro.tanaka.co.jp/ )は、耐摺動摩耗性を高めたカドミウムフリーの電気接点用クラッド材「CDF-10」を開発した。主に自動車やスマートフォン搭載される材料として12月1日から量産を開始する。

 電気接点材料の一種であるクラッド材は、比較的安価な母材のベースメタルに対して、接点となる部分にのみ母材とは異なる電気伝導性に優れたコンタクトメタルを貼りあわせた材料。接点部分の厚みが数十μm程度で充分に機能することから使用するコンタクトメタルの使用量を削減できるため、比較的安価でありながら摺動摩耗性が高いという特徴がある。従来から接点材料の市場では、自動車用エアコンダンパーモーターをはじめとした高い信頼性が求められる部品において使用されるクラッド材の接点部分には貴金属が必須とされ、一般的に銀ー銅ーニッケル合金(AgCuNi)が用いられてきたという。同社では、AgCuNiを改良した「CDF-2」を開発、今回は従来品よりも長寿命・低価格を実現した「CDF-10」の開発に成功した。

 CDF-10は、主成分となるAgCuNiに1~2μmの微細な析出粒子を添加元素として加えることで摺動時の凝着摩耗を制御している。摺動摩耗量はAgCuNiの1/5、CDF-2の1/2となり、同じ厚みで貼りあわせた場合にはいずれも2倍以上の長寿命化を図ることができる。これは、従来の半分の厚みで従来品同様の性能を維持することが可能であることを示している。今回の開発技術により、電気接点用クラッド材を使用した製品開発行う顧客は約20~40%のコスト削減を図ることが可能だという。