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SEMICON Japan 2024

 

JIMTOF2016開催、コーティングやブラストなどの表面改質技術が展示

 「JIMTOF2016(第28 回日本国際工作機械見本市)」が11月17日~22日、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された。表面改質関連では以下の出展があった。
IHIグループのブースIHIグループのブース
 IHIブースでは、IHI Hauzer Techno CoatingとIHI Ionbond Japan 、IHI機械システムが共同出展。IHI Hauzer Techno Coatingは、同社のPVD(物理蒸着)技術とPACVD(化学蒸着)技術を使用した装置を紹介、特に、アークカソード磁場がプログラミング可能で、膜の結晶・微細構造を制御できる次世代アークコーティング技術「CARC+ FLEX」を披露した。また、本年6月から国内で受託加工を始めたIHI Ionbond Japanは、切削工具向けのAlCrNベースの多層構造を持つ「Crosscut Plus」や高性能TiAlNコーティング「Maximizer Plus」のほか、窒化処理なしで各種ハイテン材のプレス金型向けに耐疲労特性と低摩擦特性を付与する「Ionbond 90 Concept」と、アルミダイカスト金型向けに耐焼付き性を向上する「Ionbond 35 CrWN」などを紹介した。IHI 機械システムは、高温浸炭で大幅にサイクル時間を短縮できるなど低コストで、ロット内、ロット間や形状による浸炭ムラが少ないなど品質が安定、作業が容易で環境にやさしい真空浸炭炉「VCB型」のほか、連続的な真空浸炭処理が可能でユーザーの生産性向上に対応する量産型真空浸炭装置「V-Cell」、脱脂洗浄力が高く乾燥時間が短い炭化水素系真空脱脂洗浄機「IWV-34C」などを紹介した。
日本エリコンバルザースのブース日本エリコンバルザースのブース
 日本エリコンバルザースは、2014年にスイス・エリコンが同国・スルザーの表面処理事業を担うスルザーメテコを買収したことにより、日本ではエリコンバルザースが販売からメンテナンスまでを行うことになったPVDコーティング装置「METAPLAS.DOMINO」の実機を展示。同社のコーティング装置のラインナップとしては低価格ながら、真空アークプロセスとスパッタリングプロセスに加え、HIPAC(高イオン化プラズマ補助コーティング)プロセス(またはアークとHIPACのハイブリッドプロセス)により切削工具や金型、摺動部品に対して品質の高い薄膜を成膜できる装置であると紹介した。また成膜可能高さ900mm、最大積載重量3000kgの大容量および大規模向けPVDコーティング装置として「INNOVENTA mega」の紹介も行うとともに、それぞれの成膜装置よって切削工具において豊富な実績を誇る受託加工についてもPRを行った。
神戸製鋼所のブース神戸製鋼所のブース
 神戸製鋼所は、来年販売開始予定の、少量多品種生産に適した小型で低価格のAIPコーティング装置「AIPocket」を展示した。最新のアーク蒸発源であるSFC(Super Fine Cathode)や最新エッチング機構を搭載し、ターゲットの交換作業に配慮した設計により、素早い膜種の変更が可能。さらに真空排気システムを最適化し1バッチ3時間を実現、少量多品種生産で高い生産性を実現する。同社ではまた、ta-C成膜用アーク蒸発源も紹介、平滑で高硬度・耐摩耗性に加え、耐凝着性に優れる膜を成膜できることから、アルミ切削工具などでの適用実績を示した。
新明和工業のブース新明和工業のブース
 新明和工業は、DLCコーティングの受託加工のサンプルを展示したほか、超硬金型・工具の除膜・再生を可能にする「イオン・エッチング・システム」を紹介した。同システムは、Arイオンを薄膜に衝突させたときのエネルギーでエッチングを行うだけでなく、O2イオンを用いることで薄膜を構成している炭素とO2イオンが化学的に結合する作用も利用してエッチングレートを高め、ダイヤモンドコーティングを含む全膜種の除膜を可能にしている。超硬表面やエッジ形状を維持しながらコーティング被膜を除去できるため、超硬切削工具や超硬金型の再生・リサイクルが可能になることをアピールした。同社ではまた、来年6月をめどにダイヤモンドコーティングの受託加工を本格化させる計画を打ち出した。来年3月ごろをめどにダイヤモンド膜の量産成膜装置を完成させる見込みだ。
厚地鉄工のブース厚地鉄工のブース
 厚地鉄工は、製造現場の自動化に対応したブラスト装置「BR1-6T-202型」でデモを行った。同装置は、集塵機別置き型の吸引式キャビネットに間欠機構の大テーブルを組み込み、ワークの着脱からブラスト加工、搬出までを自動で行える。大テーブルの上には複数の回転小テーブルが設置され、加工にムラが出ないように配慮されている。顧客の要望によってワーク着脱部の大きさやテーブル数などを自由に変更することができるため、規模に合った装置が提供できるという。このほか、同社の装置ラインナップで最小となるブラストキャビネット「BM-1」を展示。特に精度を要求される小型切削工具のバリ取りやコーティングの前処理などに適しており、省スペース化とコストメリットに優れた製品としてPRを行った。
ヤマシタワークスと日本スピードショアのブースヤマシタワークスと日本スピードショアのブース
 ヤマシタワークスと日本スピードショアは、「エアロラップ工法」を実演で紹介。ゼラチンを主成分とした食品性研磨材を核に水分「マルチリキッド」の含有で弾力性・粘着性を持たせダイヤモンド砥粒を複合させた研磨材「マルチコーン」を、被加工材表面を高速で滑走させて発生する摩擦力によって磨くことで、相手材にダメージを与えることなく鏡面仕上げを可能にする。近年DLCコーティングなどの前後処理への適用による低摩擦化などで採用が拡大していることや、歯車の低騒音化にも効果があることなどを謳った。
大塚電子のブース大塚電子のブース
 大塚電子は形状のある実サンプルのDLCコーティングの厚みを1 秒/ポイントの高速で高精度に測定できる顕微分光膜厚計「OPTM series」を紹介した。顕微分光を用いた非破壊、非接触で、測定部位に対して最小3μmスポットでの測定が可能で、Rの大きい形状であっても精度の良い反射スペクトル測定が可能。絶対反射率測定により、DLC膜の膜厚だけでなく、光学定数(屈折率、消衰係数)といった膜質由来の構造解析を詳細に行えるため、成膜方法と膜質の因果関係の追究が可能になることを紹介した。また、膜厚測定に必要な機能をヘッド部に集約したため、R&D用途だけでなく、生産装置に組み込むことでインライン計測などによる品質管理用途にも対応することを示した。