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SEMICON Japan 2024

 

ASTEC/SURTECH2017開催、表面改質や表面試験・評価技術が展示される

 「ASTEC2017 第12回 先端表面技術展・会議」や「SURTECH2017 表面技術要素展」、「nano tech 2017 第16回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」など14の展示会が、2月15日~17日に東京・有明の東京ビッグサイトで開催、53106名が来場した。

ASTEC/SURTECH2017ASTEC/SURTECH2017

 ASTECとSURTECHでは、DLCコーティングやめっき、熱処理などの「表面処理技術」、表面張力・形状・粗さ測定機やPVD・CVD装置などの「表面処理・計測装置」、機能性ナノ薄膜や電磁波シールなどの「材料・素材」の展示スペースを設け、各分野における最先端の表面処理技術などの展示を行った。このほか、最先端の3Dプリント関連機器・材料・ソフトウェアが一堂に会する「3D Printing2017」、新しい付加価値を創造する機能性マテリアルの総合展「新機能材料展2017」、コーティングやラミネート、スリット特殊印刷加工等の魅力的な製品を生み出す技術が集結した「試作・受託加工展2017」など多彩な展示会が同時開催された。これら展示会において、表面改質関連では以下の出展が見られた。

 エピクルーと共同出展したデュララテクノロジーズジャパンは、硬質クロムめっきや溶射被膜からの置き換えとして「デュララコーティング」の成膜装置の提案を行った。同装置は、マグネトロンスパッタリングとPECVDを使用し高硬度で低摩擦、耐食性に優れたDLC膜を施すことができる。装置開発元のアメリカでは、部品などの耐摩耗性向上や深みのある黒色を活かした装飾用途のほか、小径内壁のコーティングなどでも実績が多数あるという。同社では、長崎に設置したアジアテクノロジーセンターに装置を導入し試作を開始、今後の拡販に備えている。

デュララテクノロジーズジャパンのブースデュララテクノロジーズジャパンのブース

 東京電子では、パルス電子を低い周波数、低いduty比でターゲットに加え、電力を短時間に集中させ一瞬だけ高密度のプラズマを形成させる大電力パルスマグネトロンスパッタリング(HiPIMS)用パルス電源を展示した。また、ケニックス社製の世界最小クラスの「UHV(超高真空)対応マグネトロンスパッタカソード」を展示した。既存のUHVチャンバに容易に搭載でき、ガス導入系マウント構造によってターゲット表面にガス導入できることで効率的で再現性の良いプラズマ環境(密度・圧力)が得られる。

東京電子「UHV(超高真空)対応マグネトロンスパッタカソード」東京電子「UHV(超高真空)対応マグネトロンスパッタカソード」

 日本カニゼンでは、めっき皮膜表面に意図的にディンプルを形成させることで摺動特性を向上する「ディンプルカニフロン」を紹介。オイル少量環境下で飛躍的な摩擦低減を実現し燃費向上が期待できる点などをPRした。また、無電解ニッケルめっきの設備では、めっき液の硫酸ニッケル濃度、pH、めっき温度を記録・管理し自動補給を行うことで最適なめっき液を保つ自動分析補給装置「SACP」、めっき液を常時循環させながら不良の原因となるゴミや埃などの不純物を取り除くフィルター濾過装置「SFVP」などを紹介。またこれら装置を組み込んだラインをトータルで示すなど、特に自動化によって実現する省人化や品質の安定化に主眼を置いた提案を行った。

日本カニゼンのブース日本カニゼンのブース

 高周波熱錬は、導電性の被加熱物に直接電流を流し、被加熱物の内部抵抗によるジュール熱で直接加熱する「直接通電加熱(Direct Resistance Heating:DH)」を紹介。この加熱処理は、鋼線材や矩形・非矩形の鋼板への急速加熱が可能で、加熱設備の小型化や加熱の高効率化、作業環境のクリーン化を図ることができる。また、この技術を利用して高温部(焼入硬化部)と低温部(非硬化部)を縞状に任意で加熱でき、部分的なエネルギー吸収要求に対応できる焼入れ設定により、自動車部品の統廃合も含めた新たな発想の車体構造設計も可能になるという。生産技術としても、加熱用設備投資抑制に加えて急速短時間加熱による生産性向上が期待できるとした。

高周波熱錬「縞状に部分加熱したDHのサンプルなど」高周波熱錬「縞状に部分加熱したDHのサンプルなど」

 新明和工業は、世界最小クラスの粒径(2.7~3.5nm)、pH4~5、ゼータ電位45~55mVのナノダイヤモンド分散体「3 Nano Diamond dispersion」を参考出展した。独自の処理技術によって一次粒子の安定取り出しに成功。分散処理時に分散材だけでなくpH調整用の薬液を用いずに分散安定性を長期確保できるクリーンな製法により、塗装や潤滑剤、各種めっき、高機能樹脂など幅広い製品に適用できる。

新明和工業「3ナノダイヤモンド分散体」新明和工業「3ナノダイヤモンド分散体」

 レスカは、膜厚がµm以下の薄膜の密着性を定量的に測定できるスクラッチ試験機「CSR5000」を展示した。同試験機は同社独自の特許技術による高感度破壊検出機構を備え、JIS R 3255(ガラスを基板とした薄膜の付着性試験方法)に準拠した測定が行える。同社の実験では7nmのHDD保護膜を測定した実績を持っており、DLC膜や磁気ディスクの保護膜、タッチパネルや生体材料の保護膜の密着性評価に使用されているという。このほか、最大30kgまで荷重を加えることができる高荷重タイプの試験機も用意し、用途に併せたスクラッチ試験機の提案を行った。

レスカのブースレスカのブース

 アントンパール・ジャパンは、数μm厚の硬質膜の特性評価に多用されるスクラッチ試験装置「レベテスト®マクロスクラッチテスタ(RST)」を展示したほか、標準膜厚1000nm以下の薄膜やコーティングの実際的な密着性評価に最適で、有機系・無機系コーティングや、軟質・硬質コーティングの分析に使用できるスクラッチ試験装置「ナノスクラッチテスタ(NST3)」によるマウスの骨の硬さ試験評価事例などを紹介した。

アントンパール・ジャパン「レベテスト マクロスクラッチテスタ(RST)」アントンパール・ジャパン「レベテスト マクロスクラッチテスタ(RST)」

 トリニティーラボは、1台で薄膜や厚膜、塗膜などの界面特性(付着・破壊強度)と表面特性(摩擦・引っ掻き強度)が測定できる被膜性能評価システム「フィルメータ ATPro 301」を紹介。特殊ピンを使用して単層や多層膜の各層間や基材と被膜のはく離抵抗力と被膜の破壊力を測定する。また、膜はく離、膜破壊状態の可視化データも収集することが可能なほか、極低速の静・動摩擦係数測定や円錐型引掻針を用いた引掻強度測定も行える。このほか、測定物をサンプリングすることなく動摩擦係数が測定できる「ハンディーラブテスター TL-701」を展示。同試験機は、加速度センサが内蔵されており測定プローブの三次元動作を測定し、力センサー(ロードセル)の出力を補正する。したがって頬から顎、肩から腕、曲面の多い自動車ボディーなど、産業分野を選ばずにその場測定が可能だ。

トリニティーラボのブーストリニティーラボのブース

 ブルカー・エイ・エックスエスでは、交換容易のモジュール方式による設計と200種のオプションの組合わせで、回転、往復、高速振動、高温硬さ、マイクロスクラッチ、腐食摩耗などASTM、DIN、ISO規格45種超のトライボロジー試験に対応、チャンバ、コントローラ追加で加熱(400℃・1000℃)、冷却(-30℃)、湿度(5~85%RH)の環境制御が可能で、業界最小ノイズ(フルスケール0.02%)を実現し1mN~2000Nの荷重・摩擦力測定に対応する汎用性の高いトライボロジーシステム「UMT TriboLab」などを展示した。

ブルカー・エイ・エックスエス「UMT TriboLab」ブルカー・エイ・エックスエス「UMT TriboLab」

 大塚電子は、顕微分光を用いた微小領域での絶対反射率測定により、形状のある実サンプルのDLC膜の厚みを測定時間1秒/ポイントの高速で高精度に測定できる顕微分光膜厚計「OPTM series」を紹介した。DLC膜の膜厚だけでなく、光学定数(屈折率、消衰係数)といった膜質由来の構造解析を詳細に行えるため、成膜方法と膜質の因果関係の追究が可能になる。膜厚測定に必要な機能をヘッド部に集約したため、生産装置に組み込むことでインライン計測用途にも対応する。

大塚電子「OPTM series」大塚電子「OPTM series」