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SEMICON Japan 2024

 

表面技術協会、第68回通常総会・協会賞など各賞授与式を開催

 表面技術協会( http://www.sfj.or.jp/ )は2月28日、東京・麹町の弘済会館で「第68回通常総会・各賞授与式」を開催した。

 当日は第67期事業報告、会計報告が行われた後、第68期事業計画・収支予算について審議、満場一致で可決された。事業報告では、国際標準化機構(ISO)のTC107部門の国内審議団体として特別委員会の中にISO規格検討専門委員会を置き、国際規格の制定などに協力したことや、セミナーを計6回開催して参加者が379名であったことなどを報告した。事業計画では、3月と9月の講演大会の開催運営、長期構想として70周年記念事業の検討を行うことなどを確認した。

 役員改選では、前期に引き続いて会長に渡部修一氏(日本工業大学 工学部 教授)、副会長に君塚亮一氏(JCU 代表取締役社長兼最高執行責任者)、平藤哲司氏(京都大学 大学院エネルギー科学研究科 教授)が再任。今期より新たに金森秀一氏(オジックテクノロジーズ 代表取締役社長)、益田秀樹氏(首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 教授)が副会長に選任された。

挨拶する渡部会長挨拶する渡部会長 理事を代表して挨拶に立った渡部会長は「今日は里見前々会長と影近前会長がお見えになっており緊張している。というのは、里見氏が会長になられた63期は正味財産が非常に減少している状況だったが、タスクフォースが設置され財政の立て直しに邁進してくださった。影近会長になってから、そうした施策をさらに展開していただいた。今日の総会でいくつか数字が出てきたが、お陰様で4年前とは雲泥の差になるくらい協会の財政が回復している。このマネジメントを変えてくださった機運を引き続き68期でも進めていきたいと思っている。ただ、会員数が漸減している流れは変わっておらず、会員増強が今期の大きな課題になろうかと思う。皆様のご協力をお願いしたい」と述べた。

表彰される若林氏表彰される若林氏 当日の席上では、「平成29年度 表面技術協会 各賞授与式」が行われ、若林信一氏(長野県テクノ財団 ナノテク・国際連携センター長)が業績「エレクトロニクス実装におけるめっきプロセスの開発と量産化」で協会賞を受賞した。若林氏は、半導体パッケージ用の金・銀・銅めっきなどの特徴ある析出機構の解明およびその信頼性技術の確立、高速部分銀めっきプロセス・装置の開発、高速めっき機構の解明および量産仕様の確立、高機能ビルドアップ基板およびその微細配線めっき技術の開発など、一連のエレクトロニクス実装における基本的なめっき技術を開発し、量産化を達成することにより半導体産業の進展に貢献した。併せて、それらの基本的なめっき機構を明らかにし、表面技術の学理および技術の進歩発展に顕著な貢献をしたことが評価された。

表彰される松崎氏ら表彰される松崎氏ら また、技術賞では松崎 晃氏(JFEスチール スチール研究所 表面処理研究部 グループリーダー/部長)ら5名が「無機高分子をベースにした亜鉛系めっき鋼板用クロメートフリー商品群の開発」で受賞。この技術は、自己組織化超薄膜(SAM)の耐食機構に関する基礎研究成果を元にシリケートとナノシリカの複合化を着想し、亜鉛との共有結合による高密着性、三次元架橋による高バリア性を有するクロメートフリー無機高分子成分を開発し、市場が要望する低コスト化や副資材削減、工程省略といったニーズに満足する商品開発を推進した。その結果、電機用途向けには耐食性と導電性を高度両立する高機能化成、形状保持型潤滑剤や特殊エポキシ樹脂の複合化による潤滑性や後塗装密着性を有する多機能化成を実現した。さらに、建材用途向けに耐候性も具備する建材化成を開発するなど、多様な商品展開を進めている。今後のさらなる応用展開が期待できることから今回、技術賞として選出された。

 各賞の受賞者、業績は以下のとおり。

協会賞


若林信一氏(長野県テクノ財団 ナノテク・国際連携センター所長)
業績:エレクトロニクス実装におけるめっきプロセスの開発と量産化

功績賞

伊藤 滋氏(東京理科大学 理工学部 教授)
田邉 弘往(大日本塗料 顧問)

論文賞

題目:溶融亜鉛めっき用低発煙液体フラックスの開発
神本祐樹氏 (名古屋大学 グリーンモビリティ連携研究センター)、宮野博宇氏 (名古屋大学 大学院工学研究科)、大西 徹氏 (名古屋大学 工学部)、林 勇太氏 (名古屋大学 大学院工学研究科)、市野良一氏 (名古屋大学 エコトピア科学研究所)、沖 猛雄氏 (名古屋大学 名誉教授)、高野嘉彦氏 (田中亜鉛鍍金)、永見美典氏 (愛知亜鉛鍍金)
(表面技術 第66巻 第3号 95~101ページ)

技術賞

業績:無機高分子をベースにした亜鉛系めっき鋼板用クロメートフリー商品群の開発
松崎 晃氏、松田武士氏、梅林里江氏、土本和明氏、吉見直人氏(JFEスチール)

進歩賞

大久保 雄司氏(大阪大学 大学院工学研究科)
業績:熱アシストプラズマ処理によるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の革新的な表面改質と異種材料との密着性向上への応用
(表面技術 第67巻 第10号 551~556ページほか)

松井 功氏(産業技術総合研究所 構造材料研究部門)
業績:電析バルクナノ結晶メタルの作製およびその機械的特性に関する研究
(表面技術 第67巻 第8号 434~439ページほか)

技術功労賞

神原隆典氏(日鉄住金テクノロジー 試験部)
浅野 明氏(三進製作所 技術本部)
中根康博氏(JFEスチール スチール研究所)
大塚勇三氏(JFEスチール スチール研究所)