三菱伸銅( http://www.mitsubishi-shindoh.com/ja/ )は、三菱マテリアルと共同で、電気的な接続信頼性を維持しながら端子挿入時の摩擦抵抗を低減した、車載端子用めっき「PICめっき(PIC : Precise Interface Control)」を施した銅合金条が車載用端子に採用され、量産を開始したと発表した。
近年、自動車電装化の進展に伴い、電装部品におけるコネクタ類は小型化・多極化が進んでいる。一方、コネクタ端子の挿入作業が主に手作業であることから、小型化・多極化したコネクター端子では接続作業性が低下してしまうため、低摩擦性のコネクタ端子が求められている。
PICめっきは、銅合金層と錫めっき層の界面に生じる銅錫合金の形状を制御することで、微細で柱状の銅錫合金粒子が表面に均一に分散し、その隙間に錫が存在するという特徴的な剣山型の複相組織を最表層に有している。この複相組織によって、めっき表面の動摩擦係数は、従来比の約70%と大幅に低減しつつ、銅錫合金の隙間に多くの純錫成分を残存させることで電気的な接続信頼性も確保している。
同社では、高性能固溶強化型銅合金「MSPシリーズ」などと組み合わせることで、端子挿入時の摩擦抵抗を大幅に低減でき、さらなる車載用導電部材の高機能化が可能になるとしている。