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SEMICON Japan 2024

 

トライボコーティング技術研究会、第1回研究会・総会を理研で開催

 トライボコーティング技術研究会の「平成29年度第1回研究会・総会」が5月26日、埼玉県和光市の理化学研究所 和光本所 研究交流棟で開催された。

 当日はまず以下2件の講演が行われた。

・「新たな生産プロセスへの取組みと新材料の開発動向」鈴木 大 氏(冨士ダイス)…超硬工具の製造プロセスについて解説するとともに、直接造形法、間接造形法などの積層造形法といった新たな製造プロセスへの取組みを紹介した。また、新材料の開発動向として、平滑な鏡面特性が得られるとともに圧縮特性に優れるWC平均粒度0.16μmのナノ微粒バインダレス超硬合金の、レンズ成形用金型や超高圧発生装置用金型への適用や、窒化ケイ素セラミックスの耐熱合金用切削工具・塑性加工工具への応用、放熱基板材料として開発したCu-Dia複合材料の、次世代パワー半導体用ヒートシンク材料への応用などの事例を紹介した。
鈴木氏の講演のもよう鈴木氏の講演のもよう

・「IHI IonbondのPVDコーティングサービス」綾目吉彦 氏(IHI Ionbond Japan)…熱処理事業、PVD/PACVDコーティング・CVDコーティングの表面処理事業でそれぞれ装置販売と受託サービスを展開するIHIの熱・表面処理事業について説明したほか、金型向けハイエンドPVDコーティングとして冷間金型向けIonbond90 Conceptとアルミ凝着防止に効果のある熱間金型向けIonbond 35CrWNの概要とフィールドデータを示した。また、DLCのバルブリフタやピストンピンなど自動車部品への海外での適用事例を示したほか、ピストンピン成膜ラインや自動検査・刻印工程などを紹介した。さらに航空宇宙分野・大型エンジン(舶用・陸用)、オイル・ガス産業など今後注力していく分野でのコーティング適用事例として、航空機機体部品でのフレッティング摩耗やかじり、その他の摩耗対策や腐食対策を目的として、TiNやCrNなどPVDコーティングを適用している事例を示した。
綾目氏の講演のもよう綾目氏の講演のもよう

 講演に続いて「平成29年度総会」が行われ、平成28年度活動報告・会計報告がなされ、平成29年度活動計画が発表された。役員改選では、会長に大森 整 氏(理化学研究所 主任研究員)、副会長に熊谷 泰 氏(ナノコート・ティーエス社長)と野村博郎 氏(理化学研究所 大森素形材工学研究室 嘱託)が再任された。
再任された大森会長再任された大森会長

 その後、情報基盤センター「スーパーコンピュータHOKUSAI とShoubu」と戎崎宇宙物理研究室「Satsuki(皐月)」の見学会が催された。

 なお、同研究会では10月18日に、板橋区立グリーンホールでドライコーティング研究会と「第10回合同研究会」を開催。当日は、米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授を招待しての基調講演が行われるほか、両研究会から計4件の講演がなされる予定。

研究会のもよう研究会のもよう