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SEMICON Japan 2024

 

三菱マテ、汚染されたフッ素排水を効率よく浄化する新しい処理方法を開発

 三菱マテリアル( http://www.mmc.co.jp )は、低濃度で汚染されたフッ素排水を効率よく浄化する処理方法を開発したと発表した。

 フッ素化合物は、金属や半導体、ガラス等の表面処理剤として大量に使用されているが、人体に有害なため、水質の規制値として環境基準(0.8mg/L以下)および排水基準(8mg/L)が規定されている。これまで、一般的にはフッ素排水はカルシウム塩と反応させた上で、フッ化カルシウムとしてフッ素を固定化する方法で処理されてきた(同社)。しかし、フッ化カルシウムは微量ながら水に溶解するため、フッ素濃度が10~20mg/Lまでしか低下せず、後処理が必要となっていたという。この後処理では、特殊な吸着剤あるいは凝集剤を使う凝集沈殿法で対応しているが、吸着剤のコストが高額であったり、凝集剤を大量に使用するといった問題があった。

 今回同社が開発したフッ素排水処理技術では、酸化マグネシウムとアルミニウム塩が反応して生成する層状複水酸化物にフッ素を効率よく吸着させる独自のプロセス。ナノオーダーの層状構造をもつ層状複水酸化物は、フッ素の吸着能力が非常に大きいため、少量の凝集剤で処理することが可能となり、また使用する酸化マグネシウムやアルミニウム塩も一般的に使用されている廉価な水処理剤。このため、処理コストが従来の凝集沈殿法と比べて、半額程度の薬剤コストで処理することができるという。

 また、今回のフッ素排水処理技術では、半導体・電子材料事業から排出されるフッ素排水処理にも適用できる。同社電子デバイス事業所の排水処理に適用した事例では、処理後のフッ素濃度が環境基準(0.8mg/L)値以下であったことを実証している。

 このほか、フッ素以外にもホウ素、カドミウム、鉛、ヒ素、セレンなどの有害元素を同時に除去することができ、多成分の有害元素を含む土壌汚染地下水や自然由来汚染水にも幅広く処理することが可能となる。

 同社グループでは、現在フッ素排水処理から発生する固体廃棄物をフッ素原料としてリサイクルする事業を展開しており、これを本技術と組み合わせることで、高濃度のフッ素排水からはフッ素資源を回収するとともに、その後の低濃度排水は規制値以下まで確実に処理する環境調和型の処理システムが可能となる。