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SEMICON Japan 2024

 

矢野経済研究所、物理・化学機能薄膜の市場予測を公表

 矢野経済研究所( https://www.yano.co.jp/ )は、次世代機能性薄膜世界市場を調査し、物理・化学機能薄膜世界市場の将来予測について公表した。

 無機・有機材料など材料の種類に関わりなく、膜厚を数nmから数100nm程度の非常に薄い膜にすると、バルク(固体、かたまり状)とは異なる構造・物性を示すことがあり、最近ではそうした新たな取組み、さまざまな特徴的な機能を持つ次世代機能性薄膜の開発・研究が盛んに行われている、とした。

​ 物理・化学機能薄膜の世界市場予測
​物理・化学機能薄膜の世界市場予測

 この調査では、性質の異なる相と相が接触している物質の界面において、特異な役割を果たす物理・化学機能薄膜である超撥水性薄膜やガスバリア性薄膜、水分離薄膜、超親水性薄膜などを対象とした。2020年の物理・化学機能薄膜世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)は1413億円を見込む。

 また、物理・化学機能薄膜を分類別にみると、超撥水性薄膜が最も大きく、全体の約38%を占めている。これに次ぐのがガスバリア性薄膜で約18%、以下水分離薄膜、超親水性薄膜の順となっている。

 注目トピックとして、ガスバリア性薄膜を挙げて次のように解説した。

 一般に、1~5μm程度の孔が開いたフィルムでは液体である水を通すことはできないが、気体や水蒸気の大きさは0.3~0.5nm程度であるため、1nm程度の微細な孔でも溶解と拡散の原理で透過してしまう。また、一般に工業生産されているポリエチレンであれば、通常、1cm3あたり4×10の21乗個程度の微細な孔が存在する。こうした微細な孔のあるポリエチレン製の袋は、水は漏れなくても空気は通すので、密閉状態にはならない。

 もし、フィルムに微細な孔を含めてまったく孔が存在しない状態であるなら、気体を完全に遮断する強力なガスバリア性能を付与することができる。プラスチックフィルムは透明で軽く、コストも安いうえ、形状変化にも優れるため、包装材料としては極めて優秀な素材である。このため、こうした素材にガスバリア性を持たせたいというニーズが存在することから、ガスバリア性能の高いフィルム状薄膜の開発は盛んに行なわれている。