日本分析機器工業会と日本科学機器協会は9月3日~5日、千葉市美浜区の幕張メッセ 国際展示場で、分析機器・科学機器の総合展示会「JASIS2025」を開催、約430社/1300小間の出展があり、19750名が来場した。表面試験・評価機器関連では以下のような展示があった。

アントンパール・ジャパンは(https://www.anton-paar.com/jp-jp/)、ナノインデンテーションテスタ「Hit 300」を展示した。研究開発や生産管理など多様なユーザー・環境を想定して作られた、プレミアムながらリーズナブルなナノ硬さ試験機で、直感的に操作できる自動化によって、作業者が不在の時でも1時間に600回の測定が可能。アクティブな防振ダンピングが、あらゆる環境下での精度を保証しているほか、独自の2レーザーターゲティングシステムにより、1 mm以内の精度でサンプルをターゲティングできる。機能性重視の設計によりセットアップに要する時間は15分、トレーニングから最初の測定結果まで要する時間は1時間。

大塚電子(https://www.otsukael.jp/)は、光波動場三次元顕微鏡「MINUK」を展示した。観察・測定対象(フィルムやガラスなどの透明材料)から生じる光の波の情報全てを指す“光波動場”を、結像素子を介さずに波面センサに記録して、任意の面の像を計算処理で生成する。非破壊・非接触・非侵襲での測定が可能で、nmオーダーの透明な異物・欠陥の評価が可能。視野700μm×700μm、深さ方向1400μmの三次元情報を対象にフォーカスを合わせることなく2秒未満(標準)の高速で取得できるほか、任意の面を高速でスキャンし測定位置の決定がしやすい。

新東科学(https://www.heidon.co.jp/)は、表面性測定機「HEIDONトライボギアTYPE:14FW」を展示した。面圧、線圧、点圧による静動摩擦、摩耗等を多彩な冶具類の付け替えにより試験できる。目的に合わせて接触形態、垂直荷重、接触スピード、温調の各種調整もでき、データ処理に対しても専用の解析ソフト(トライボソフト)を用意。タッチパネルによる一体構造で扱いやすさを向上したほか、14FWをベースにユーザーニーズに合わせたカスタマイズモデルも製作可能で。このほか、表面引っかき硬さ,表面べた付き,引っ張り強度,はく離抵抗の測定が可能となっている。

THK(https://www.thk.com/jp/ja/)は、圧電素子を利用した精密位置決め装置「ピエゾステージ」を展示した。最高1nmの分解能と高速な応答速度を実現、微小な範囲での精密な位置決めに最適。1(X)軸から3(XYZ)軸一体型まで揃えた直動系や回転系などをラインアップするとともに、短納期でスピーディーなカスタマイズに対応。干渉計のミラー微調整への活用では、波長の数百分の1の細かさで高精度にミラーを制御、干渉を利用した光学系も安定した計測が行える。このほか、MRI装置や各種試験装置などの強磁場環境でも高精度で安定した直線運動を実現する比透磁率1.02以下の低透磁率LMガイド「HSR M3形」を披露した。

トヨタ自動車(https://www.toyota.co.jp/wavebase/)は、材料計測データ解析クラウドサービス「WAVEBASE」を紹介した。クルマ作りを通じて取り組んできた多様な材料の研究開発の過程で培った知見をフル活用してシステムを構築。①赤外吸収分光法やX線回折法、走査型電子顕微鏡による金属組織観察など、種々の計測原理に基づいた特徴量の取り出し、②次元削減手法を効果的に活用することにより、微小な変化や周期性など人が認識することが難しく見逃しがちな特徴量の取り出し、という二つの考え方で自動解析機能を構築。カスタマイズされた解析手法を活用、計測データから可能な限り有用な情報を取り出すことで、少量データでの効果的なマテリアルズ・インフォマティクスが実現できる。

パーク・システムズ・ジャパン(https://www.parksystems.com/jp)は、200mmウェハーを切り出さずにそのまま評価できるリサーチ用原子間力顕微鏡(AFM)「FX200」を展示した。従来の大型試料対応リサーチ用AFM「NX20」の後継機で、NX20と比較し①低ノイズフロアと低い熱ドリフトによる再現性の高い測定、②スキャンレート50Hzでも鮮明な画像を取得できる高速イメージング性能、③11μm×11μmの小口径のレーザービームスポットのためカンチレバー長が非常に短いプローブを利用できる、④サンプルビューを改善した高出力光学系、⑤200mmウェハーからクーポンサイズの試料までをカバー、⑥プローブタイプの自動認識、プローブの自動交換、カンチレバー上の自動レーザービームアライメント、などの特長を持つ。

パルメソ(https://palmeso.co.jp/)は、熟練不要で誰でも変質なくスピーディーに分析試料の前処理ができる界面分析向け前加工用エロージョン装置「PERET(ピーレット)」を展示した。1μm以下の微粒子と水を混合したスラリーが、ノズルから約100m/secの速度で霧状に投射され、試料表面に衝突し試料表面をエロージョンすることで、超薄膜、多層フィルム、微小部品、三次元形状など、さまざまな形状や形態の試料、セラミックス・金属・樹脂・ゴム、樹脂と金属の複合材料などあらゆる材料表面において変質を伴わないnm研磨を可能にしたことにより、XRD、ラマン分光、SEM、X線残留応力などの深さ方向分析が行える。

ブルカージャパン(https://www.bruker-nano.jp/page1)は、幅広い試験用途に対応する多機能ナノインデンテーションシステム「Hysitron TI Premier II」を展示した。モジュール設計であり、ニーズに応じて、より専門的な試験方法や、従来フラッグシップモデルのみで対応していた環境制御機能(加熱(800℃)、冷却(‐120℃)、温湿度(75℃、RH75%)でのナノ力学試験が可能)のアップデートが容易に行える。幅広い試験用途に対応する優れた多機能性を有するため、さまざまな試験評価に取り組んでいる日本の技術者・研究者に最適なナノインデンテーションシステムであることをアピールした。
