神奈川県産業技術センター( http://www.kanagawa-iri.go.jp/ )と神奈川県産業技術交流会は、10月23日から25日の三日間、神奈川・海老名市下今泉の同センターで「平成25年度 神奈川県ものづくり技術交流会」を開催、23日に「DLCコーティング技術フォーラム」が実施された。
DLCコーティング技術フォーラムのもよう フォーラムでは、産業技術総合研究所 大花継頼氏が「DLCコーティング膜の密着・耐摩耗性評価試験について」と題して講演。DLCを摺動部に適用する場合には、はく離をどのように評価するかが課題になっているとして、ステップ的に荷重を増加させる往復型の振動摩擦摩耗試験を用いて、ドライ環境下でDLCのはく離の評価を行った例について報告。まとめとして「摩擦係数の増加だけでははく離の評価をすることは困難であり、摩耗痕の観察などの総合的な判断が必要である」とした。これに対して、産総研が中心になって耐はく離能の評価手法の標準化を目指した取り組みを行っていることなども付け加えた。
KYB 基盤技術研究所 材料研究室の田村徹弥氏は、「DLCコーティングの実用適用技術」と題して講演。油圧部品を製造する同社は、2001年にDLCコーティングの内製化技術を確立。その間に実用化した部品としてショックアブソーバとピストンポンプの適用事例について紹介した。事例では、他の材料と比較してDLCは耐摩耗性、耐焼付き性に優れるとした上で、適用事例以外の摺動部に適用するには技術革新によるコスト低減、密着性など信頼性を改善する技術が必要とした。このほかの講演では、慶應義塾大学 教授 鈴木哲也氏「慶應ー神奈川ものくづくり実証・評価センター~大気圧プラズマ法による機能性薄膜の合成と実用化~」、同センター 機械・材料技術部 吉田 健太郎氏「DLCの摩擦係数速度依存性に及ぼす潤滑剤に含まれる極性基の影響」、同 渡邊敏行氏「大気圧プラズマCVD法による非晶質炭素薄膜の作製」が行われた。
交流会では、他にも表面改質関連の講演が行われた。24日に「長寿命材料研究フォーラム」の中で、横浜国立大学 教授 高橋宏治氏「自己治癒とショットピーニングの併用によるセラミックスの強度向上」、同氏「ピーニングによる構造材料の疲労強度向上と表面き裂の無害化」、パーカー熱処理工業 渡邊陽一氏「窒化処理したSCM435鋼の疲労強度特性に及ぼす表面化合物層の影響」、同センター 機械材料技術部 中村紀夫氏「微粒子ピーニングによるアルミニウム合金の疲労強度向上」が行われたほか、25日には「表面処理最新技術」の発表が行われた。
交流会は企業の新製品開発、技術力の高度化・研究開発力の向上を目指して企業、大学、同センターをはじめとする研究・技術者が日頃の研究・技術開発成果の発表や支援事例紹介などを通して、産学公の交流と連携する場として開催するもの。