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第9回ものづくりワールド名古屋

 

表面技術協会、第65回通常総会・協会賞など授与式を開催

 表面技術協会( http://www.sfj.or.jp )は2月27日、東京・麹町の弘済会館で「第65回通常総会・各賞授与式」を開催した。

 当日は第64期事業報告、会計報告が行われた後、第65期事業計画・収支予算について審議、満場一致で可決された。事業報告では、1月に行われた同協会主催の展示会であるSURTECHの実施報告や講演大会の実施状況、会員動向などの報告を行った。事業計画では、講演大会を春秋各1回開催することや年3回以上のセミナーの企画および実施、関連分野の新規会員の開拓を行うことなどを確認した。また、今期より消費税増税による協会運営の圧迫が予測されることから、より一層充実した会員サービスを図るために会費の改定を行うことを報告した。

 任期満了に伴う役員改選では、今期より会長に影近 博氏(JFEテクノリサーチ 代表取締役社長)、副会長に興戸正純氏(名古屋大学 大学院工学研究科 教授)、清川 肇氏(清川メッキ工業 代表取締役社長)が新たに選任された。柴田正実氏(山梨大学 大学院医学工学総合研究部 教授)、中井 昇氏(関西ペイント SD研究所 所長)は前期に引き続いて副会長を務める。

就任の挨拶をする影近会長就任の挨拶をする影近会長 会長に就任した影近氏は「当協会が設立されたのが1950年であり、私が生まれたのも1950年である。世の中の通念では前期高齢者の入り口であるが、今回選任された4名の副会長とともに、汗を流して協会の発展のために寄与したいと思っている。当協会は、2011年を境に財務状況が急激に悪くなっている。ここ数年は基金を取り崩しながらつないできたというのが実情だ。里見前会長ほか、前期執行部の努力により2013年は何とか黒字に戻した。言わば止血が終わった段階である。今年以降はこの止血を踏まえて、定常的な黒字体質で事業が運営出来るような協会にすることが私どもの役割ではないかと思っている」と就任の決意を述べた。

退任の挨拶をする里見前会長退任の挨拶をする里見前会長 続いて前期まで会長を務めていた里見多一氏(日本パーカライジング 代表取締役社長)が「2年前に会長を仰せつかった時から、協会の存続と財政危機をあらゆる場で言い続けてきた。今日この日を迎える(黒字を達成した)ことができて良かったと思っている。これからも微力ではあるが、協会をご支援させて頂きたい。個人的には協会の存続を大義に、厳しい時に協会の方々と一緒に論議を交わした経験が私の大きな財産になるのではないかと思っている。まさに災い転じて福となす、その言葉のとおりである。ただ、協会の前途はバラ色とは言い難い状況である。皆様におかれましては、協会をなくしてはいけないという熱い気持ちと、表面技術を学ぶ若い人たちのためにもこの協会を存続させるという気持ちを強く持って頂ければ幸いである。これは執行部だけではなく、会員一人ひとりの皆様が、表協を愛し、支えるという気持ちを持って頂くことが重要であると2年間の会長職を通じて強く感じたことである。また、退任をする執行部を代表して、2年間ご支援頂いたことを厚く御礼申し上げる」と退任の挨拶を述べた。

表彰をされる大塚氏表彰をされる大塚氏 当日の席上では、「平成25年度表面技術協会―協会賞・功績賞・論文賞・技術賞・進歩賞・技術功労賞―授与式」行われ、大塚俊明氏(北海道大学 大学院工学研究院 特任教授)が業績「金属の不働態化ならびに不働態酸化物被膜に関する研究」で協会賞を授賞した。大塚氏は今回の業績のほかに、金属の表面状態と機能を制御するための酸化還元系を有する高分子皮膜が関与する電子移動現象、溶融塩やイオン液体を用いたアルミ合金の電析に関する基礎および応用において多くの研究成果を挙げている。特に鉄鋼の防錆機能の観点から検討を行っており、こうした金属の不動態化ならびに不働態酸化物被膜に関する一連の研究により表面技術の進歩・発展に顕著な貢献をしたことが認められた。

 授賞者一覧は以下のとおり。

協会賞


・大塚俊明氏(北海道大学 大学院工学研究院 特任教授)
業績「金属の不働態化ならびに不働態酸化物皮膜に関する研究」

功績賞

・阿部芳彦氏(元 北海道中小企業総合支援センター)
・和田健二氏(元 物質・材料研究機構)

論文賞

・板垣昌幸氏(東京理科大学 理工学部 工業化学科 教授)、犬飼明恵氏(三井金属鉱業 電子材料事業本部)、四反田 功氏(東京理科大学 理工学部 工業化学科 講師)
題名「チャンネルフロー電極法を用いた酸性溶液中における銅のアノード溶解に対するBTAの防食効果の検討」
(表面技術 第63巻 第5号 316~322頁)

進歩賞

・金子信悟氏(神奈川大学 工学研究所 教務技術職員)
業績「走査型プローブ顕微鏡を用いたAu(111)上への有機分子の吸着構造解析に関する研究」
(表面技術 第59巻 第2号 145~148頁 ほか)

技術功労賞

・真田敬一氏(新日鐵住金 広畑製鉄所 生産技術部 研究品質管理室 薄板・表面試験班長)
・日野義明氏(太洋工作所 事業開発本部 開発研究所 担当)
・日々生 隆一氏(JFEスチール スチール研究所 耐食材料研究部 リーダー)
・船津丸 修氏(デンソー 部品エンジニアリング部 表面処理工程 生産技術担当)