エリコンバルザースの親会社であるスイス・エリコンはこのほど、同国・スルザーの表面処理事業を担うスルザーメテコの買収に合意したと発表した。買収額は10億スイスフラン(約1156億円)。統合後のビジネス規模は、エリコングループが手掛ける事業の中でも表面処理分野が全体の33%を占め、グループ内で最大の事業規模になるという。売上金額ベースでは、表面処理事業全体で12億スイスフラン(約1387億円)に達し、グループ全体でも2012年の売上金額が24%増加して36億スイスフラン(約4160億円)になる。
今回の買収合意によりエリコンバルザースの従業員は約6000人に増加の予定。世界35カ国・110以上のコーティングセンターで受託加工が行われ、装置販売などの関連事業を含めると135施設で事業が展開される。エリコングループでは両社事業のシナジーにより、「表面処理のマーケット規模は90億スイスフランまで拡大する」としており、双方の技術の強み、市場参入、地理的範囲などを相互補完することでさらなる顧客満足につなげるという。具体的には航空、防衛、電力、石油・ガス産業といった新規エンドユーザーのマーケットに深く入り込むことが可能になり、精密部品や自動車といった従来顧客の分野外に成長を見込んでいる。
エリコングループ CEOのブリース・コッホ氏は、「今回のステップで表面処理ソリューションのための技術開発を促進し、世界をリードする製品とサービスを提供していく」としている。
日本市場では、エリコンバルザースの日本法人である日本エリコンバルザース( http://www.oerlikon.com/balzers/jp/ )がPVDコーティング装置の販売、全国5工場で「BALINIT」ブランドによる切削工具のコーティングを中心とした受託加工を行っている。またスルザーメテコは、日本法人のスルザーメテコジャパンが溶射装置や各種溶射材料の販売のほか、PVDコーティング装置の販売も行っている。今後の国内体制については、「まだ何も決まっておらず、合併規制の承認後に動きがある予定(日本エリコンバルザース 広報担当)」としている。
日本エリコンバルザース 本社