日本アイ・ティ・エフ( http://www.nippon-itf.co.jp )は、同社従来装置と比べて約2倍の生産量が可能となるPVD法(Physical Vapor Deposition:物理気相成膜法)によるアーク式コーティング装置を開発、今年10月に販売を開始する。
同装置は、真空チャンバーの内部や真空ポンプへの配管経路などを最適化し約2倍の実効排気速度を実現した。また基材を加熱するヒーターも1.8倍の容量があるものに変更。これらにより不純物ガスを短時間で排気することが可能になり、ドリルにTiNを成膜した場合でサイクルタイムを2分の1に短縮できる(同社従来装置比)。
また、アーク蒸発源のカソード材料の直径を2.5倍に拡大し、アーク放電が発生する部分(アークスポット)がムラなくできるよう磁場で制御し、4.5倍の材料寿命を実現した。その結果、カソード材料コストは4分の1に低減したという(同)。
従来の装置では、真空チャンバーの扉を開ける際に発生するダストで部屋全体の環境を悪化させていたが、基材を搬出する扉をブースで囲み、ダストをブース内で回収処理する構造にしたことで、工場内の環境改善も可能となった。
同社では、国内の自動車部品や工具・金型などの表面コーティング向けに提案を行い、シェア拡大を目指すとともに、自動車産業の発展する中国、東南アジア、インドなどにも展開し、2015年度に4億円の売上を見込んでいる。