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SEMICON Japan 2024

 

JFEスチール、「デュアルコイル電磁石による表面処理鋼板の非接触通板制御装置」で日本機械学会賞(技術)

 JFEスチールは、同社が開発した「デュアルコイル電磁石による表面処理鋼板の非接触通板制御装置」が、一般社団法人日本機械学会から2013年度日本機械学会賞(技術)を受賞したと発表した。同賞は、日本の機械工学・工業の発展を奨励することを目的として、優秀な論文や技術などに対して毎年与えられるもの。

 連続溶融亜鉛めっき鋼板製造ラインでは、高温で溶融した亜鉛のポットに連続的に鋼板を浸漬して引き上げ、過剰に付着した亜鉛をワイピングノズルによって掻き落として目標のめっき付着量に制御している。めっき付着量の均一化のためには、ワイピングノズルと鋼板の間隔を一定に保つことが重要であるため、ノズル上方に設置した電磁石(非接触式)およびサポートロール(接触式)により、鋼板の反り形状矯正と、振動防止を行っている。ただし、この時点で鋼板表面の亜鉛は半溶融状態であるため、サポートロールと接触する際に発生した亜鉛粉が鋼板に付着し、表面欠陥の原因となっていたという。

JFEスチール「デュアルコイル電磁石による非接触通板制御装置」 この問題を解決するためには、サポートロールを使用せずに非接触での通板制御が必要となるが、従来の電磁石では制御能力が不足していた。そこで同社は、巻数の多いコイルと巻数の少ないコイルの2系統で形成する「デュアルコイル電磁石」を開発した。コイルを2系統とすることにより、鋼板の反り形状を矯正するために一定の吸引力を発生させる機能と、鋼板の振動にあわせて電流を制御する機能が分離された。これにより電磁石に要求される吸引力と応答性の両立を実現し、サポートロールを用いない非接触での通板制御が可能となった。

 今回開発した、デュアルコイル電磁石を用いた非接触通板制御装置は、すでに同社の製造ラインに設置されており、鋼板の品質向上に大きく貢献しているという。

受賞技術名

「デュアルコイル電磁石による表面処理鋼板の非接触通板制御装置」

受賞者

西名 慶晃 氏(スチール研究所 機械研究部 主任研究員)
石田 匡平 氏(スチール研究所 機械研究部 主任研究員)
石垣 雄亮 氏(スチール研究所 機械研究部 主任研究員)
永井 肇 氏(西日本製鉄所(倉敷地区) 冷延部 部長)
小澤 悠一 氏(西日本製鉄所(倉敷地区) 冷延部 冷延技術室 主任部員)