トライボコーティング技術研究会( http://www.tribocoati.st )は6月6日、埼玉・和光の理化学研究所 仁科センターで、「平成26年度第1回研究会および総会」を開催した。
当日は大森 整会長(理化学研究所 主任研究員)の開会挨拶に続いて以下のとおり講演が行われた。
「大電力パルスマグネトロンスパッタリング法による成膜技術の開発経過報告」渡部 友太郎氏(東京都立産業技術研究センター 広報室 係長)……同センター保有のSULZER METAPLUS社製「Domino-Mini」で大電力パルスマグネトロンスパッタリング法(HiPIMS:High Power Impulse Magnetron Sputtering)による成膜技術について解説。金型・摺動部品において成膜後の製品精度要求が高くなっている状況から、HiPIMSによりTiAlN膜をドライ切削工具に適用した事例を紹介した。結果では、アークイオンプレーティング法と比べて、明らかに平滑でほぼ同じ硬度の膜が形成できるとした。また、1mm角の細孔でも2mmの深さに平滑な成膜が可能で付き回り性が良好であったこと、成膜パラメータの制御により130℃前後という低温成膜を実現できると報告した。
「電子ビーム励起プラズマ(EBEP)の研究」浜垣 学氏(理化学研究所 山崎原子物理研究室 先任技師)……電子ビームは、エネルギーの制御が簡単であり、電離の効率が良い100eV前後の大電流の電子ビームが得られれば、低ガス圧においても高密度のプラズマ生成が可能と解説。電子ビーム励起プラズマ装置(EBEP:Electron Beam Excited Plasma)を使用して、低エネルギー大電流の電子ビームにより低ガス圧において高密度プラズマが生成できることを報告した。
引き続き平成26年度総会を開催、平成25年度活動報告・会計報告が行われ、平成26年度活動計画が発表された。次回研究会は9月11日~12日、名古屋で開催される予定。
平成26年度第1回研究会のもよう