日立ハイテクサイエンス( http://www.hitachi-hitec-science.com/ )は、1000℃まで試料観察ができる示差熱熱重量同時測定装置「STA7200RV」の販売を開始した。
熱分析装置は、物質の熱に対する基本的な性質(熱物性)を測定する装置。物質への熱の出入りを測る「示差熱分析(DTA)」、「示差走査熱量測定(DSC)」、重量変化を測る「熱重量測定(TG)」、長さの変化を測る「熱機械分析(TMA)」、弾性率を測る「動的熱機械測定(DMA)」などの手法がある。材料の研究開発や品質管理などで幅広く活用されているという。
一般的に熱分析の結果はグラフで表現されるため、測定者はグラフの微細な変化から試料の熱物性を読み取る必要があった。同社は、2009年より熱分析装置にCCDカメラと専用ソフトウェアを組み合わせることで、分析中の試料の変化を視覚的に観察できる「試料観察型」の装置を販売している。通常の熱分析測定手法では分からない試料の加熱時の形態変化をCCDカメラにより測定結果と併せて観察・評価することができる。
新製品は、同社従来機の試料観察時の測定温度範囲が500℃までであったのに対し、1000℃までの試料観察に対応する。試料観察窓(ビューポート)を持つ新設計の加熱炉により1000℃まで拡大することを実現した。これにより従来機では不可能であった高分子有機材料などの分解過程を最後まで画像で観察することができる。また金属、ガラスなどの無機材料の融解、ガラス転移の視覚的な観察が可能になる。