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SEMICON Japan 2024

 

リガク、小型・軽量の可搬型X線応力測定装置

リガク「SmartSite RS」 リガク( http://www.rigaku.co.jp )は、操作が容易で安全かつ直感的に操作できる持ち運び可能なX線応力測定装置「SmartSite RS(スマートサイト・アールエス)」を開発、販売を開始した。配管の内部で発生する応力腐食割れの検査、大型クランクシャフトの金属疲労検査、橋梁溶接部の残留応力測定などの際に、測定対象を破壊することなく、その場で高精度な測定を可能にする。

 同品は、世界最小クラス(幅114×奥行き248×高さ111mm)、最軽量(3kg)を実現したヘッドユニットにより、内径200mmの配管内部を測定可能。対象物が屋外の構造体であれば、標準装備のキャリーケースに入れて持ち運び、その場で応力測定することができる。電源確保が困難な場所でもバッテリー(オプション)によって駆動することもできる。短時間で測定できることも大きな特長で、高感度なピクセル型半導体2次元検出器を採用したことで、一般的な試料をわずか60秒で測定できる。

 また、誰でも容易に使用できるよう、対象物との角度・距離をインジケータに表示することで、直感的な調整を可能にした。安全性の面では、検出器と対象物の距離およびヘッドユニットの傾きが規定範囲外の場合、X線を発生しない保安機構を搭載。土木・建設作業現場などでの利用を想定し、ヘッド部分には防塵処理を施している。また、低出力運用で管球切れのリスクを極小化した。

 管球はCr(クロム)、対象物はスティールおよびアルミニウム。ステンレスに代表される、広く産業界で利用されている材料の測定が可能。標準構成は、ヘッドユニットと電源ユニットからなる本体部および解析ソフトウェアを搭載し、制御マシンとして機能するWindows 8.1タブレットなど。タブレットは、本体部とWi-Fi通信し、場所を選ばず装置を制御できる。オプション製品の開発も進めており、残留オーステナイト定量測定アタッチメントやX線作業主任者の選任が不要になる遮蔽ボックスを近日中に提供する予定。

 金属を曲げ加工すると、内側に圧縮、外側に引張りの応力が発生する。これを残留応力という。X線回折法は、残留応力測定に極めて有効であると広く知られているが、これまでのX線応力測定装置は大型で、対象物を切断してから測定する必要があったという。たとえば、大型トラックなどで使用されるショットピーニング処理された板バネをそのまま測定することは不可能で、製品品質の安定に高額なコストがかかっていた。また、配管内部の検査にX線回折法を使いたいという強いニーズも存在しており、同品はこれら要望に応える形で開発されたもの。