堀場製作所( http://www.horiba.com/jp/ )は、分子構造や化学組成を解析するラマン分光分析装置に、原子レベルで試料表面の形状を観察するAFM(原子間力顕微鏡)の機能を搭載した「AFM-ラマン分光分析装置」を9月3日に発売する。
ラマン分光分析装置は、二次電池や半導体などのナノ材料の分子構造の解析、表面改質関連ではグラファイト構造(sp2結合)とダイヤモンド構造(sp3)が混在するアモルファスカーボン膜であるDLC膜の構造解析に使用されている。
同品は、AFM搭載により同社既存装置比で100倍となる10nmの分解能を実現した。また、分析部の機構を最適化することで、従来は半日かかっていたAFMとラマン分光分析装置の調整が不要で、試料をセットして10分ほどで解析操作が可能。高分解能で簡単に解析したいという需要に応える。
AFMとラマン分光分析装置の複合する装置は、解析装置の中で唯一ナノ領域の物質の分子構造の解析や化学組成を解析できるという。同装置はAFMの原子レベルの凹凸を感知する部分で、ラマン分光分析装置が検出する光を増幅できる作用を利用することで、分子レベルで構造分析を把握できる。同社では、ナノテク研究において画像解析やシミュレーションだけでなく、分子構造の実測が求められる中で、10年前からAFMとラマン分光分析装置の複合装置を研究室ごとの特注装置を提供してきたという。
ラマン分光分析装置は、カーボン材料の構造を敏感に反映することから、カーボン材料評価の有力な手段となっており、DLC膜においては1550cm-1近傍のG-bandと呼ばれるピークと1350-1近傍のD-bandと呼ばれるピーク位置、ピーク幅ならびにピーク強度などによりsp3とsp2の割合や、水素量、残留応力などと関連付けられて膜の評価がされている。