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第9回ものづくりワールド名古屋

 

アントンパール・ジャパン、CSMをグループ化してから初のイベントを開催

講演のもよう講演のもよう アントンパール・ジャパン( http://www.anton-paar.com/ )は8月22日、東京・北品川の同社セミナールームで「CSM TriTec Evolution Party」を開催した。スイス・CSM Instruments社(現・Anton Paar TriTec)がオーストリア・Anton Paar社のグループに加わったことにより、CSM Instruments 日本支店は、昨年よりアントンパール・ジャパンの一部門として活動を行っている。今回は、旧CSM Instruments 日本支店の顧客や関係者を招いて同社の概要や事業内容、同社装置を使用した事例を紹介することで、新たなスタートを切るべくイベントの開催を行った。

飯田 浩社長飯田 浩社長 冒頭、挨拶に立った飯田 浩社長は、「アントンパールは、オーストリア第二の都市であるグラーツに拠点を置いて、93年前に機械工だったアントン・パールが一人で始めた会社である。その後、大学などの研究機関と連携して1967年に世界で初めて振動式密度計を世に送り出した。密度計を世界に拡販するにあたり、企業体としては200~250人に拡大して80年代を過ごした。その後、皆様の関係の深い分野だと1996年にレオメーターのメーカーであったドイツ・フィジカ社を子会社化し、日本国内でも50%のシェアを占めるまでに成長した。昨年11月にCSM Instruments社を子会社化して、Anton Paar TriTec(トリテック )と社名は変わったが、技術そのものは踏襲し、当社でデベロップメントを進めている状況だ。今回、このような会を設けさせて頂いたことでCSM、TriTec、アントンパールの名前が皆様の心の中でつながることになれば、また新しい展開ができるかと思う」と述べた。

ジャック・フランソワーズ氏ジャック・フランソワーズ氏 続いてAnton Paar TriTec 副社長のジャック・フランソワーズ氏(旧CSM Instruments 社長)が同社の沿革や、製品ラインナップなどを紹介。社名となったTriTecのTriは、同社の主要技術であるインデンテーション測定、スクラッチ測定、摩擦摩耗試験において必要となる三つの技術を高いレベルで保有していることを表していると明かした。その上で、それぞれの自社装置の機構と測定領域について解説した。またアントンパールの一員となったことで、広範囲でのグローバル対応や測定精度のレベルアップを図ることが可能になると話した。具体的には、軟質膜において、低荷重で大きな押込み深さを付与でき正確な変位を計測すること、また逆にHDD上のカーボン膜など硬質膜においては、比較的大きな荷重で小さな押込み深さを付与し、正確に計測する技術の開発促進が期待されるとした。さらに、インデンテーション測定の環境については、1000℃以上の高温環境や-50℃の低温環境での測定、さらに真空中での測定についても今回のグループ化により一層開発が進むとした。

グウェン・ボロレ氏グウェン・ボロレ氏 引き続き、アントンパール・ジャパン TriTec プロダクトセールスマネージャーのグウェン・ボロレ氏がインデンテーション・テスタ、スクラッチテスタ、トライボメータの同社製品や開発状況について解説。インデンテーション測定では、ウルトラナノインデンテーション・テスタで、1000℃までの高温環境でノイズや熱ドリフトなくナノ領域の変位の正確な計測を可能にする装置の開発や、温度制御機能や濃度制御機能などを備え生体組織のインデンテーション試験を可能にする装置の開発状況について紹介した。また、新たに卓上式のインデンテーション・テスタにAFM(原子間力顕微鏡)を搭載することが可能になり、コンパクトなスペースで測定およびビジュアルデータを取得することが可能になったことや、摩擦摩耗試験では特別仕様のナノトライボメータでコンタクトレンズの摩擦係数を測定できる装置の報告などを行った。

三浦健一氏三浦健一氏 講演の最後は、大阪府立産業技術総合研究所の三浦健一氏が「公設試連携DLCラウンドロビンテストについて―各種成膜法によるDLC膜の特性評価―」で登壇。全国の公設試験研究機関(公設試)と産業技術総合研究所が連携してDLCの成膜方法をもとに、平成24・25年度の2年間に渡り様々な分析を実施した取り組みと結果について報告を行った。24年度は「ものづくりに向けたDLC評価方法の検討」としてDLC膜(13種)の物理的評価や化学的評価、機械的評価を行った。25年度は「DLC密着性評価法の検討」としてロックウェル圧痕試験とスクラッチ試験によりDLC膜(13種)の密着性を評価し、両試験の相関などについて考察した。この取り組みは2年間で終了となったが、産業技術連携推進会議・製造プロセス部会・表面技術分科会に「DLC技術研究会」を新設し、活動を継続する予定だという。

 講演終了後はショールーム見学会が実施され、同社の粘度計や粘弾性測定装置、振動式デジタル密度計など幅広いラインナップを誇る計測・分析装置の紹介が行われた。