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SEMICON Japan 2024

 

三菱マテリアルなど、MEMSデバイスに使われるPZT圧電膜をゾルゲル法により量産可能に

 三菱マテリアルとSCREENセミコンダクターソリューションズは、微小電気機械システム(MEMS)デバイスに使われるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)圧電膜の量産技術を共同開発した。

 PZT圧電膜は、圧電効果を発揮する機能性薄膜で、インクジェットプリンターのヘッド、車載用のセンサーやアクチュエーター、センサーネットワーク用の環境発電デバイスなど、多くのMEMSデバイスにおいて使用拡大が見込まれている。

 半導体製造におけるPZT圧電膜の成膜方法には、スパッタリング法とゾルゲル法の主に二つの方法がある。スパッタリング法は広く用いられているが、PZTが三成分系複合酸化物であることから、わずかな組成の違いにより電気特性などが不安定となるため、特に大口径ウエハーへの安定的かつ均一な成膜に課題があるという。

 一方、ゾルゲル法は、均一な組成のゾルゲル薬液を使用するため、大口径ウエハーへ成膜する場合でも安定的かつ均一な成膜が可能だという。しかし、MEMSデバイスで必要とされる2µm程度の膜厚を得るために、塗布および焼成を20~30回程度繰り返す必要があるため、生産性の向上が課題となっていた。また、PZT圧電膜の量産について、従来ユーザーは自社で技術開発を行わねばならず、量産体制に至るまで、多大な費用・時間を必要とすることもあわせて課題となっていたという。

三菱マテリアル製のゾルゲル薬液三菱マテリアル製のゾルゲル薬液 今回開発した技術は、三菱マテリアルのゾルゲル薬液(PZT-N)を、SCREENセミコンダクターソリューションズの塗布・焼成装置(80EX)で用いることにより実現可能となる。塗布膜厚を増加し、大面積への均一な塗布および焼成を図ることで、塗布回数は従来の20~30回から10回程度へと大きく低減される。


SCREENセミコンダクターソリューションズ製の塗布焼成装置SCREENセミコンダクターソリューションズ製の塗布焼成装置 今回の量産技術により、塗布・焼成装置一台あたりのスループットは、1.3枚/時間から従来比で2倍以上の2.9枚/時間に向上するため、生産性の大幅な改善につながる。また、ウエハーサイズは、MEMS用途として最大の8インチまで対応可能となる。