関東を中心に活動するトライボコーティング技術研究会( http://www.tribocoati.st/ )と関西を中心に活動するドライコーティング研究会( http://www.ampi.or.jp/studygroup/studygroup.html )は10月24日、東京・青海の東京都立産業技術研究センターで「第7回合同研究会」を開催した。
当日は、ドライコーティング研究会の山田 猛氏(近畿高エネルギー加工技術研究所 専務理事)とトライボコーティング技術研究会会長の大森 整氏(理化学研究所主任研究員)による開会挨拶の後、以下の通り講演が行われた。
「冷間鍛造潤滑の動向と新しい潤滑システム」小見山 忍氏(日本パーカライジング)……現在、冷間鍛造の潤滑技術として広く普及しているボンデ処理(リン酸塩処理)の問題として多量の産業廃棄物の発生、複雑な処理工程や工程管理などによるコスト増大などを挙げた。その上で、同社が開発したボンデ処理代替の一液潤滑被膜処理は、簡便な塗布型処理法による工程の簡略化とコスト低減や、処理プロセスから廃水や産業廃棄物などが発生しないため、被膜処理に要するエネルギーコストの低減を実現するとした。
「非鉄材用精密金型への水素フリーDLCコーティングの適用」アブスアイキリ サーレ氏(日立金属)……精密金型に適用されている水素フリーDLC(ta-C)膜について講演。ta-Cの課題として膜の平滑性と密着性、生産性を挙げた上で、同社が採用するT字型フィルタードアークによるta-C膜の表面は、他の製造方法に比べてドロップレットが少ないことや、硬さ60GPa以上の高硬度、高密着性を実現するとした。また耐熱性においては処理温度が600度に達しても60GPa以上を維持するとした。
「新規ポリマー添加油のトライボロジー特性」中村健太氏(東京都立産業技術研究センター)……金属の表面への高吸着能が期待される水酸基導入型ポリアクリレートを取り上げ、ポリマーの吸着が影響する油膜形成能について述べた。次いで、加減速度を変化させて得た摩擦ー速度特性について解説した。
合同研究会のもよう