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SEMICON Japan 2024

 

ナノコート・ティーエス、新工場稼働でDLCコーティングの生産能力を増強

新設された第2工場の外観新設された第2工場の外観 ナノコート・ティーエス( http://www.nanocoat-ts.com/ )は、石川事業所(石川県能美市)の既存工場隣接地に第2工場を新設、DLCコーティング装置およびハイブリッド洗浄装置を導入し、生産能力を倍増した。

 同社では、フランス・HEFグループが開発したプラズマブースタースパッタリング(PBS)とプラズマCVDのハイブリッドプロセスによる硬質薄膜「セルテス」の受託加工を展開している。このコーティングプロセスは、AIPプロセスと異なり、ターゲット材料の蒸発とイオン化の割合を独立して制御できるため、被膜特性をより自由に制御することができる。このため、AIPプロセスの成膜時に懸念されるドロップレットの発生がなく平滑な表面が得られるため、摺動部品では良好なトライボロジー特性が得られるという。

 今回、生産能力を増強した同社のDLC被膜「セルテスDLC」は、硬さ7GPa~28GPaまでの被膜をラインアップ。密着性の高い3〜5μmのDLC被膜により、これまで密着力不足で適用できなかった高面圧で使用される工具鋼金型などにも使用が可能となる。また180℃の低温処理が可能なため、SUJ鋼、SCM浸炭鋼、SKS鋼、アルミ合金やゴム部品に対しても母材の硬度低下や変形がなく成膜が行える。

 セルテスDLCのラインアップは、耐摩耗性グレードのセルテスDCY・DC2500・DC1000、金属ドープ導電性グレードのセルテスDT、ゴム部品へのコーティンググレードのセルテスDC-Rなどがあり、用途に応じて最適なDLC被膜を提案する。これまでにも精密金型や自動車、産業機器、航空宇宙分野で使用される部品などで豊富な実績があり、今回はエンジン部品の量産に伴っての生産能力増強だという。

 同社の熊谷 泰社長は、今回の新工場稼働により、「工場面積は従来の2倍となりセルテスDLCラインアップの生産能力を倍増するとともに用途に応じて多彩なDLCコーティングが提供可能となった」と話している。

稼働開始したナノコート・ティーエスの第2工場稼働開始したナノコート・ティーエスの第2工場