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SEMICON Japan 2024

 

第7回岩木賞大賞に土肥俊郎氏(九州大学)らが決定

 トライボコーティング技術研究会( http://www.tribocoati.st/ )、未来生産システム学協会(NPS)などからなる岩木賞審査委員会は、「第7回 岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)」を発表した。

 大賞には業績名「次世代半導体基板の高能率・高品位加工を実現する革新的な高速圧加工装置と加工条件感応型の特殊粘弾性材料パッドの開発」で土肥俊郎氏・瀬下 清氏・山崎 努氏(九州大学)と市川大造氏(不二越機械工業)、高木正孝氏(フジボウ愛媛)が、優秀賞には業績名「大気圧プラズマを用いたナノメータ精度の形状創成、表面仕上げ、表面機能化技術の開発」で山村和也氏(大阪大学)が、事業賞には業績名「超精密インプリント用金型および型ロール用の快削性が優れた水素吸蔵電析Ni合金めっき技術開発」で野村鍍金が、それぞれ受賞した。

 大賞を受賞した土肥氏らは、難加工材であるSiC、GaNなど次世代半導体材料の加工に対し、トレードオフとなる加工能力と加工面品位を両立する、ダイラタンシー現象(物体の内部に力が掛かり液体の状態から固体に変化する現象)の生産工学への初の応用となる特殊フィラー活用の研磨パッドと、その特性を最大限に引き出す高速圧加工装置を開発、それぞれ出荷を開始した。これにより、ますますコスト競争力が求められる半導体製造プロセスにおいて、従来プロセスに比べ工数・生産コストを大幅に削減し生産性を高める日本発の技術と産学連携のビジネスモデルを確立したことが評価された。

 優秀賞を受賞した山村氏は、高価な真空機器が不要で化学的なダメージフリープロセスである大気圧プラズマプロセスにより、超精密無歪形状創成や高硬度難加工材料に対する表面仕上げ、表面機能化を実現する「F3 Technologies」を確立した。特に半導体基板の厚さ分布制御や光学素子の形状加工・平坦化といった形状創成用途で事業化レベルの段階に来ていることなどが評価された。

 事業賞を受賞した野村鍍金は、単結晶ダイヤモンドバイトによりナノレベルの超鏡面・超精密切削加工が実現できる、内部に大量の水素を含有した電析ニッケルリンめっき快削材を開発。ディスプレイやLEDなどの精密光学部品を制作する金型や型ロールへの適用ですでに事業化され、日本の産業競争力の向上に貢献していることなどが評価された。

 岩木賞は表面改質、トライボコーティング分野で多大な業績を上げた故・岩木正哉博士(理化学研究所元主任研究員、トライボコーティング技術研究会前会長)の偉業を讃え、当該技術分野と関連分野での著しい業績を顕彰するもので、トライボコーティング技術研究会が提唱し2008年度に創設、2011年度(第4回)からは未来生産システム学協会(NPS)が表彰事業を行っている。

 大賞は、開発技術が世界的に高い水準にあり新規独創性に優れ、実用化され経済的・社会的貢献が認められる業績に対し贈られる。また優秀賞は、開発技術が日本国内で高い水準にあり新規独創性に優れ、実用化され社会的貢献が認められる業績に対して、事業賞は事業化技術または事業/ビジネスモデル、サービスなどが当該業界において影響力を有し、当該業界の知名度を上げる、インフラの構築を行う、社会生活に恩恵をもたらすなどの効果を通して、活性化、発展に貢献を成し、波及効果を生むといった活動の成果、努力が認められるものに対し贈られる。

 第7回岩木賞の贈呈式と受賞業績の記念講演は、2015年2月27日に埼玉・和光市の理化学研究所・和光研究所で開催される「シンポジウム:第17回トライボコーティングの現状と将来」で行われる予定。

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