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SEMICON Japan 2024

 

日本マクダーミッド、名古屋で第2回自動車部品向けめっき技術セミナーを開催

挨拶するベイショア社長挨拶するベイショア社長 日本マクダーミッド( http://www.macd.co.jp/ )は4月21日、名古屋市中村区のウインクあいちで「第2回自動車部品向けめっき技術セミナー」を開催した。当日は自動車メーカー各社をはじめ、Tier1、Tier2のサプライヤー、めっき専門業者などが約120名参加した。講演は親会社の米国・マクダーミッドなど世界各国から専門分野のエキスパートが講師を務め、同社製品や世界のめっき情勢について解説を行った。また、自動車メーカーの取り組みを紹介する特別講演として、日産自動車・八重樫 英明氏が「環境変化に対する自動車用防錆材料の腐食感度変化と懸念」、トヨタ自動車・別所 毅氏が「樹脂上めっきの環境対応技術をはじめとする自動車表面処理について」と題して自社のめっきに対する取り組みについて紹介を行った。

 セミナーの冒頭、挨拶に立ったジュリアン・ベイショア社長は、「このセミナーは、昨年9月に神奈川県川崎市で第一回を開催し、大変好評であったため第二回の開催を決めた。前回、遠くて出席できないという声が多かったため、今回は少しでも多くの方にご参加いただけるように場所を名古屋に移した。お陰様で中国、四国、九州、関東、東北から多くの方にお越しいただいた。近年、インターネットであらゆる情報を得られるが、実際に人に会って、話を聞くことで画像に表れてこない側面が必ず見えてくるものと確信している。特に、我々の技術はまだ日本語に訳されていないものもあり、検索では引っかからなかったこともあると思う。講演を通して皆様が有意義な一日を過ごせることを切に願う」と述べた。

 講演では、欧米を中心に各自動車メーカーに採用されているめっきの最新技術を紹介。Andreas Smie氏(Global Product Director, Anti-Corrosion Products)は「ブレーキキャリパー その他自動車部品への亜鉛-ニッケルめっきの適用」と題して講演。開口面の大きいアルミホイールでは、ブレーキキャリパーが目立つデザインであることを述べ、素材金属の腐食や大量の亜鉛皮膜腐食が問題となっている点に言及した。また、欧州におけるREACH規制で化成処理液のコバルトやめっき液のホウ酸を禁止する可能性があるため、それらの対策として亜鉛-ニッケルめっきを提案した。この技術はコバルトフリー化成処理との組み合わせにより、ELVまたはREACH規制に適合し、従来の亜鉛めっきに比べて耐食性、耐熱性、耐傷付性、耐ガルバニック性などに優れており、長期間魅力的な色(シルバー、ブルー)を保持することなどを報告した。

セミナーのもようセミナーのもよう Bernie Banks氏(Technical Sales Manager,FIM-Asia)は、「プラスチック部品へのハードコートフィルムという選択」で登壇。自動車の内装部品やカーオーディオ、電気製品などのプラスチックパーツを加工・装飾する「FIM(Film Insert Moulding)」を紹介した。この技術は、シート状のフィルムにシルク印刷を施し、金型に合わせて成形し、裁断をしてから最後に射出成型を行うことで、レンズとボディなど複数のパーツをハードコートフィルムで一体化させることが可能な技術。耐擦傷性、耐溶剤性、耐薬品性に優れるとともに対象パーツの表面に新たな触感や光沢を与えることができ、インクを変えることで任意の色にすることが可能なことから、欧米の自動車メーカーを中心にエアコンやハンドル周りの各種操作ボタンなどに普及している状況を解説した。

 鈴木誠司氏(エレクトロニクス営業課)は、3次元成形回路部品であり成形樹脂に回路などを付加することにより完成品の大幅な小型化が期待できる技術「MID(Molded Interconnect Device)」の概要と同社技術について解説。同社が提供するMIDプロセスはLDS(Laser Direct Structuring)工法で、有機金属を練り込んだ樹脂に対してレーザー照射により回路パターンを形成し、パターン上に無電解銅めっき工程を行った後に無電解ニッケルや金、銀、錫などの最終表面処理を行う。同社では、MID専用薬品による表面洗浄剤、銅めっき、最終表面処理の工程に必要な薬品を販売する。現在、モバイルデバイス向けのアンテナや自動車のグリップスイッチ、ステアリングスイッチ基板、オーディオコントローラーなどに採用されているという。

 Lammert DeBoer氏(Global Director - Decorative Coatings)は、「"evolve"プラスチック用クロムフリーエッチングプロセス」で講演。同品は、プラスチック基材に対するクロムフリーエッチング薬剤で、めっきの前処理工程において従来エッチングに使用していた六価クロムに代えて使用することで、EUのREACH規制に対応できる。これまで、治具に金属めっき析出を発生する課題があったが、コンディショナー溶液に治具を浸漬処理する方法やインヒビターを含有したPVCコーティングを導入するなどして対策を行った。大規模な設備投資が不要で工程数の増加もないため、フランス、アメリカの自動車メーカーでは導入が見込まれているという。

 このほか、当日は以下の講演が実施された。Max DiMarco氏(Market Manager,Greater China)「ZinKlad(ジンクラッド)システム:自動車用ボルト向け皮膜処理」、Andreas Smie氏(Global Product Director,Anti-Corrosion Products)「亜鉛-高ニッケル合金めっき--酸性浴、アルカリ浴 製品ラインナップとその特長」、Lammert DeBoer氏(Global Director-Decorative Coatings)「サテンニッケル:光沢調から艶消しまで豊富なバリエーションを実現」、田岡道子氏(カラースタイリスト)「マクダーミッドのカラースタイリストが提案する最新のトレンドカラー」。

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