自動車技術会は「第65回自動車技術会賞」の受賞者を発表、24件、81名が受賞した。表面改質関連では、藤田昌弘氏(スズキ)が「アノード酸化・封孔処理によるアルミニウム部品の耐食性向上技術の開発」で浅原賞学術奨励賞を受賞した。
自動車の軽量化を目的として、アルミニウム部品の適用が進んでおり、外観部品や過酷な腐食環境で使用されるアルミニウム部品には、耐食性を高めるためアノード酸化処理による皮膜の作製と、皮膜の孔を塞ぐ封孔処理が行われる。しかし、従来の封孔処理は高温の水溶液中に長時間、部品を浸漬する手法であり、生産性とエネルギー消費の観点で問題があった。藤田氏は、封孔処理に関する固定概念にとらわれずに研究を行い、強アルカリ性のリチウム含有水溶液を用いた常温かつ短時間での処理が可能な封孔処理方法を開発した。また、本手法が従来法と比べて部品の高温暴露で生じる耐食性の低下を著しく抑制する効能を有することを新たに見出した。表面処理技術の発展に向けて今後の活躍が期待される。