オートモーティブワールド2016ののもよう 「第2回自動車部品加工EXPO」、「第8回国際カーエレクトロニクス技術展」、「第7回EV・HEV駆動システム技術展」、「第6回クルマの軽量化技術展」、「第4回コネクティッド・カーEXPO」の5展示会から構成される「オートモーティブワールド2016」が1月13日から15日までの三日間、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された。当日は、自動車のエレクトロニクス化・電動化、IT化、軽量化など自動車業界で重要になっている最先端技術を810社が出展、27088人が来場した。
フロロコートのブース 表面改質関連では、ふっ素樹脂コーティングの受託加工を行うフロロコートが出展。基材に難付着性、すべり性、化学的不活性といった機能を付加する「アドロン」L-Rシリーズの紹介を行った。この被膜は、従来オーダーメイドのため高価格だったふっ素樹脂コーティングを塗膜品質と社内工程の規格化により、品質面・価格面・納期面で競争力のあるものにした。現在、液晶・半導体、食品機械、航空宇宙と幅広い産業に適用されており、今後はさらなる拡大を目指して自動車分野に注力して提案を行うという。
コーティングサンプル(上)と極細線へのコーティング例(下) 沢平は、同社独自のコーティング法により、熱電対や試験機で使用されるプローブなどの極細線に対してのコーティング技術「SAWACOAT NEXT」を紹介。φ50μmの極細線に対してふっ素樹脂、二硫化モリブデン、シリコン、セラミックスを均一にコーティングすることができるという。適合分野は医療機器、計測機器・センサー類 、電気・電子部品などの各分野に広がっており、他にはロボット、原子力、 放射線に関する分野での需要を見込んでいる。
左が「AC-X・W」、右が「OS-8」のコーティングサンプル PVDコーティングの受託加工を行うオンワード技研は、パンチ金型や切削工具向けのコーティングとして超高硬度DLC膜「AC-X・W」を紹介。硬度HV7000と高硬度で膜厚1μmを実現し、アルミニウムや銅加工の耐凝着対策に有効であるとした。また、硬度HV3700、耐熱温度1100℃、3層構造のTiSi系コーティング「OS-8」は、HRC40以上のドライ加工用の切削工具を実現するコーティングとしてサンプル展示を行った。
エア・ウォーターNVのブース 熱処理では、エア・ウォーターNVがガス活性化処理とガス窒化処理を組み合わせることにより、400℃台の低温で窒化を行える「NV窒化」の受託加工を紹介するとともに、浸炭処理において処理時間を約50%削減することが可能な「新浸炭ガス」の供給をはじめたことをPRした。このガスは、炭素侵入量が多くすることで浸炭時間短縮して浸炭炉の生産性を向上する。また、酸化成分の除去により、変成ガスに比べて粒界酸化層を50%低減することが可能だという。
真空浸炭炉「TVC」の1/10ミニチュア 熱処理装置メーカーとしては高砂工業が出展。操作性、安全性を重視した真空浸炭炉「TVC」の1/10ミニチュアを展示した。同装置は、省エネルギーに配慮した新しい真空浸炭炉操業支援ソフトを拡充したことで、最適条件を容易に選択することが可能だという。さらに浸炭処理時間は昇温から油焼入れ完了までのサイクルタイムが従来の炉と比べて30~45分の削減が可能になったことなどをPRした。このほか、付帯設備として真空洗浄機、熱風循環式焼戻炉なども紹介した。