メインコンテンツに移動
SEMICON Japan 2024

 

ナノコート・ティーエス、トライボロジー試験の受託サービスを開始

 ナノコート・ティーエス( http://www.nanocoat-ts.com/ )は9月、東京都昭島市に「トライボロジーラボ」をオープンし、受託試験サービスを開始した。受託試験を通じて新規薄膜などユーザーとの共同開発も手掛ける。

 同社は精密金型や精密トライボロジー部品の摩擦・摩耗問題を解決するPVD(物理蒸着)コーティング技術の研究開発に取り組む中で薄膜の機械的特性を評価する各種試験を実施してきたが、試験評価の蓄積・ノウハウを活かし、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜など硬質薄膜の摺動部品への実用化を進める上でも重要なトライボロジー試験の受託サービスを始めた。

 トライボロジー試験には、①実際に使用される条件での試験(例えばエンジンベンチテスト:フルスケール試験)、②ラボで基礎評価に使用されるボールオンディスク試験のようなラボスケール試験、③それらの中間で、個々の部品の使用条件に合わせてカスタムメード試験機で行うパイロットスケール試験の、3段階の試験がある。

H.E.F 型トライボメータH.E.F 型トライボメータ 同社が所属する総合表面エンジニアリング会社の仏H.E.Fグループが自作試験機によるパイロットスケールのトライボロジー試験を得意とし硬質薄膜の開発に利用していることから、開設したトライボロジーラボでは同グループが1960年代に摩擦摩耗の研究を目的に開発した「H.E.F 型トライボメータ」を導入した。同試験機は機械の剛性が高く、現在でも実機条件に近いパイロットスケールでの種々のトライボロジー試験が行える。同試験機で可能な試験モードと試験条件範囲は図のとおりだ。

図 H.E.F型トライボメータの試験モードと試験条件範囲図 H.E.F型トライボメータの試験モードと試験条件範囲

アントンパール社製トライボメータアントンパール社製トライボメータ 受託試験サービスではまた、同試験機のほかにオーストリア・アントンパール社製のトライボメータを中心に活用。硬質薄膜だけでなくソフトマテリアルを含む各種バルク材料も対象に受託試験を実施、ユーザーとの共同開発も視野に入れる。

 同社の熊谷 泰社長は、「受託試験という試みが、産業界におけるトライボロジー課題の解決にいささかでも貢献できることを願ってやまない」と語っている。

 なお、H.E.F型トライボメータによる摩擦係数測定値などの豊富なデータは、H.E.F の古典的名著『摩擦と摩耗のマニュアル』(日本では泰山堂が発行)に見て取れる。