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SEMICON Japan 2024

 

表面改質展2016開催、コーティングを中心に表面改質技術・製品を展示

表面改質展2016のもよう表面改質展2016のもよう 「表面改質展2016」、「VACUUM2016 真空展」が9月7日~9日の三日間、横浜市西区のパシフィコ横浜で開催、約16000人が来場した。主催は表面改質展が日刊工業新聞社、真空展が日本真空工業会と日本真空学会。表面改質展では、熱処理やドライコーティング、ショットピーニングなどの受託加工の紹介や、関連する装置の展示が行われた。また、真空展においても真空成膜技術やスパッタリング装置のほか、成膜装置用DC・パルス電源や除膜装置などの周辺機器の出展が見られた。ここでは、表面改質展を中心に本サイトに関連の深い製品・技術を紹介する。

IHI Hauzer Techno Coatingが展示したコーティングサンプルIHI Hauzer Techno Coatingが展示したコーティングサンプル 成膜装置関連では、IHI Hauzer Techno Coatingが、同社のPVD(物理蒸着)技術とPACVD(化学蒸着)技術を使用した装置を紹介。その中で金型・工具向け販売に注力している「CARC+」では、磁場を最適化し面内均一のアークスポットが可能な独自アークイオンプレーティング手法を採用し、ドロップレット生成を抑えられることや、ターゲット使用率が高いこと、高い成膜レートを実現できることといった特徴をアピールした。


新明和工業の「NeoCold RCTシリーズ」と開発者の池田昌彦氏(中央)新明和工業の「NeoCold RCTシリーズ」と開発者の池田昌彦氏(中央) 新明和工業は、独自のHFC系混合冷媒を使用した冷凍サイクルにより-100~-140℃の超低温が得られる冷却装置「NeoCold RCTシリーズ」を展示した。同装置は、真空槽内の水蒸気を捕集するためのトラップを冷却する用途に使用し、真空装置の排気速度・真空度を向上させる。レンズの光学膜や自動車用部品の装飾膜などを形成する真空成膜装置に用いることで、タクトタイム短縮や薄膜の品質向上が図れる。


IHI Ionbond JapanのコーティングサンプルIHI Ionbond Japanのコーティングサンプル ドライコーティングの受託加工を行うIHI Ionbond Japanでは、「The Surface Engineers」を掲げて出展。金属成形金型・樹脂成形金型向けに耐摩耗性・低フリクション特性を兼ね備えたコーティング「Ionbond 90 Concept」や「Ionbond 35 CrWN」のほか、機械部品用PVD・PACVDコーティングなどを紹介した。


オーエスジーコーティングサービス「EgiAsコーティング」のサンプルオーエスジーコーティングサービス「EgiAsコーティング」のサンプル 親会社のオーエスジーの切削工具で豊富なコーティング実績を持つオーエスジーコーティングサービスでは、「超硬フラットドリルADF」に初めて採用されたドリル用の新コーティング「EgiAsコーティング」を耐摩耗性・耐衝撃性に優れた膜として紹介。この被膜は、ドリル専用のクロム系多層被膜で耐摩耗層とナノ周期積層で構成されている。従来から、同様の構造の膜種はあったが、新コーティングではナノ周期積層を増やすことで特に靱性を高めた点が特徴。硬度はHV3200、酸化開始温度は1100℃。


東京電子「HiPIMS用電源」東京電子「HiPIMS用電源」 成膜装置の電源の製造・販売を行う東京電子では、パルス電子を低い周波数、低いduty比でターゲットに加え、電力を短時間に集中させ一瞬だけ高密度のプラズマを形成させる大電力パルスマグネトロンスパッタリング(HiPIMS)用電源を展示した。また、岡山理科大学・中谷達行教授の成膜指導のもとでHiPIMSを用いて医療デバイスに適した高硬度で生体適合性の高いta-C:H膜の開発を目指すプロジェクトについて紹介した。


レスカ「FPR2200」レスカ「FPR2200」 こうした被膜の耐摩耗性を評価する装置としてレスカは、新製品のピンオンディスク型摩擦摩耗試験機「FPR2200」の実機を展示。同試験機の最大の特徴は湿度を10~80%の間で制御して摩擦係数が測定できること。湿潤環境で摩耗しやすい材料や膜などの研究開発、品質管理に適している。また、この1台で回転・往復・高温環境・液中環境における摩擦係数を再現性良く測定できるため、幅広い用途に適用できる。同社では、併せてナノレベルの薄膜の密着性を定量的に評価する超薄膜スクラッチ試験機「CSR5000」も紹介。液晶ディスプレイの透明電極膜や光学薄膜、DLC膜などの密着性を測定する試験機として会場で注目を集めた。