パーカー熱処理工業( http://www.pnk.co.jp )主催、日本パーカライジング( http://www.parker.co.jp/ )共催、パーカーS・N工業( http://www.parker-sn.co.jp/ )・日本カニゼン( http://www.kanigen.co.jp/ )協賛の「第9回表面改質技術研究会」が9月28日、東京・丸の内の日本工業倶楽部で開催、約250名が参加した。
挨拶する古庄社長 当日は、パーカー熱処理工業の古庄史郎社長が参加者に向けて「遅ればせながら、東日本大震災発生により被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い回復を祈念している。当グループにおいても、日本パーカライジングの仙台熱処理工場が津波の被害を受けて操業を停止した。しかしながら、幸いなことに人的被害はほとんどなく、お客様を始めとする関係各位のご支援を頂き7月には操業を再開、現在は順調に操業を続けている。この場を借りて関係者を代表して御礼申し上げたい」と挨拶を述べた後、講師陣の紹介を行い、以下のとおり講演が行われた。
「カニゼン上海の紹介と中国の無電解めっき市場」森田顕氏(日本カニゼン)…日本カニゼンの海外拠点の一つ、中国のカニゼン上海におけるめっき液の製造・販売状況や中国での無電解めっきの市場の傾向などを紹介。その上で「環境問題に関心が高まっており、今後は環境対応製品に注力しなければ、中国でのビジネスは難しくなる」と指摘、その取り組みとしてとして①環境対応製品の充実②中高リンタイプのめっき皮膜の紹介③六価クロムフリーの後処理材の販売などを行っていると発表した。また、中国における同社の今後の課題として、現地技術者・営業マンの育成や加工事業への対応などを挙げた。
「トヨタのクルマづくりにおける材料熱処理の取り組み」高尾朋宏氏(トヨタ自動車)…トヨタ自動車の材料熱処理技術を「製品機能向上」、「工程・設備のシンプルスリム化」という観点に分類。「製品機能向上」では、ハイブリット技術やCVTおよび多段A/Tなどに使用される部品を具体的に挙げ、各部品に対応する熱処理技術として減圧浸炭ガス焼入れや高強度ガス軟窒化、内外高周波焼入れ、ショットピーニング、高強度ボロン肌焼鋼などの事例を紹介した。また「工程・設備のシンプルスリム化」では、クランクシャフトの高周波焼入れや、ギヤの鍛造焼きなまし、アルミ鍛造部品の溶体化時効においての成功事例を具体的に解説した。
「表面硬化熱処理における課題とその対策例」奥宮正洋氏(豊田工業大学)…浸炭焼入れ(ガス浸炭焼入れ、真空浸炭焼入れ)、窒化(ガス窒化、ガス軟窒化、塩浴軟窒化、プラズマ窒化)の現状と将来の展望を解説。このほか、具体的な実験例として「N-クエンチによる鋼の表面硬化」、「鋼中成分がN-クエンチ後の機械的特性に及ぼす影響」、「ナノバブルによる焼入れ冷却剤の冷却能制御」について、実験方法から実験結果および考察を示し、詳細に解説を行った。
講演のもよう