三菱マテリアル、有機ELディスプレイ用銀合金スパッタリングターゲット

　三菱マテリアル（ http://www.mmc.co.jp/ ）は、有機ELディスプレイ用銀合金スパッタリングターゲット「DIASILVER（ダイヤシルバー）201-100」を開発、量産を開始した。また、今回の開発に合わせて、銀合金スパッタリングターゲットの製品ブランド「DIASILVER（ダイヤシルバー）」シリーズを新たに立ち上げ、今後積極的な市場展開を図る。

　スパッタリングターゲットは、対象とする電子基板に原子レベルで合金や金属酸化物等の物質を付着させ、薄い膜を形成するための材料。銀には「高反射率」、「低電気抵抗」という特長があることから、銀合金スパッタリングターゲットは反射膜、電極膜、配線膜、あるいは半透明膜（半透過膜）を形成するために使われている。

　同社の有機ELディスプレイ向け銀合金スパッタリングターゲットは、形成された薄膜電極がもつ高い可視光反射率と耐食性、および低電気抵抗という特長と高品質のターゲット製造技術により、ディスプレイの高輝度化および長寿命化に寄与する。同社は9割を超える市場占有率（同社推定）を確保しており、業界のスタンダードとになっているという。

　同品は、ターゲット材を形成する結晶の平均粒径が100μm以下（従来品は400μm以下）と金属組織をより微細にした。接合や貼り合わせ等の継ぎ目がなく、大型サイズに対応していること(平板型:一体型G6、分割型G11、円筒型:G8.5)、金属組織がターゲット全体にわたって均一であること(面内および厚さ方向の結晶粒径のばらつきが20%以内)といった特徴がある。

　また、大型基板に形成された薄膜の基板内における膜特性（電気特性、反射特性）の均一性向上により、有機ELディスプレイの画像品質の改善、スパッタ中の異常放電（アーク放電）、スプラッシュ（ターゲット材の飛散）低減により有機ELディスプレイの生産歩留まりが改善、 大型サイズ化に伴う用途拡大などに効果がある。

　今回の開発品は、有機ELディスプレイに加えて、フレキシブルディスプレイおよび液晶ディスプレイ等への用途拡大も期待されているという。
有機ELディスプレイ用銀合金ターゲット：サイズは1800mm×2300mm