DLCコーティング技術フォーラムのもよう 神奈川県産業技術センターと神奈川県産業技術交流協会は11月9日~11日の三日間、神奈川・海老名市下今泉の神奈川産業技術センターで「平成23年度 神奈川県ものづくり技術交流会」を開催、9日に「熱処理技術フォーラム」、11日には「DLCコーティング技術フォーラム」が開催された。
交流会は企業の新製品開発、技術力の高度化・研究開発力の向上を目指して、企業、大学、同センターをはじめとする研究・技術者が日頃の研究・技術開発成果の発表や支援事例紹介などを通して、産学公の交流と連携を促進する場として開催するもの。
熱処理技術フォーラムでは、神奈川県産業技術センターの高木眞一氏が「熱処理・表面処理技術研究会について」を講演。同センターが中心となって、産学公が協働して地域のものづくり競争力を維持する試みとして取り組む同研究会で、①「金型、工具を対象とするセラミック硬質皮膜分野」②「機械構造用部品を対象とする窒化、浸炭焼入れ、高周波焼入れなどの表面硬化処理分野」に取り組むことなどを発表した。このほか、ヤマハ発動機 久保田剛氏「二輪車エンジン用部品の要求特性と熱処理技術」、ジャトコ 矢ヶ部文哉氏「AT/CVT における熱処理技術の現状と課題」、パーカー熱処理工業 平井勇也氏「化合物層及び酸化層を同時形成する塩浴軟窒化処理のEBSD解析」、上島熱処理工業所 鶴見州宏氏「塩浴熱処理の特徴と最近の技術動向について」の講演が行われた。
DLCコーティング技術フォーラムでは、東京工業大学の大竹登氏が「DLCの分類方法と成膜方法」について講演。ダイヤモンドからグラファイト、また水素の含有量などと千差万別の物性を持つDLCを中小企業などのユーザーが使用しやすいように材料として定義し、分類を行うことにより適材適所でDLC応用を目指す標準化について講演。その分類方法や成膜方法について解説した上で「DLCはカーボンナノチューブやグラフェンに比べて使用しやすい材料で適用したときに成功率の高い材料である」と述べた。このほか、日産自動車 馬渕豊氏「水素フリーDLC膜の摩耗解析」、ハウザーテクノコーティングB.V. 寳来 寛氏「工業用DLCコーティング」、神奈川県産業技術センター 機械・材料技術部 加納眞氏「DLCコーティング適用技術の進展」、同 渡邊敏行氏「Roll to Roll式大気圧プラズマCVD装置の改良」、同 堀内 崇弘氏「異なる成膜プロセスで作製した非晶質炭素膜の膜物性評価」、同 吉田 健太郎氏「低環境負荷潤滑剤を用いたDLC膜の摩擦低減に及ぼす影響」の講演が行われた。