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SEMICON Japan 2024

 

トライボコーティング技術研究会、平成30年度第2回研究会を開催

 トライボコーティング技術研究会は8月31日、兵庫県尼崎市の尼崎リサーチ・インキュベーション・センター(ARIC)で「平成30年度 第2回トライボコーティング技術研究会」を開催した。今回はドライコーティング研究会との第11回目となる合同研究会として開催された。

 当日は、ドライコーティング研究会を代表して近畿高エネルギー加工技術研究所(AMPI) 所長の牛尾誠一氏が「今回は、3年振りに関西地区での合同研究会の開催となった。猛暑の中お集まりいただき大変嬉しく思っている。本日は有意義なディスカッションを期待している」と挨拶を述べた。続いて、トライボコーティング技術研究会の大森 整会長が「合同研究会は毎年1回行われており、11年もの長期にわたって相互の研究会の交流が続いている。昨年の合同研究会はノーベル物理科学賞を受賞された中村修二氏を招いて、理化学研究所創立100周年を記念した理研シンポジウムの一環として、板橋区と合同で盛大に開催した。ご協力いただいた皆様に感謝申し上げる」と開会挨拶を述べてから、以下の講演が行われた。
挨拶を述べる牛尾氏挨拶を述べる牛尾氏挨拶を述べる大森氏挨拶を述べる大森氏

・「STRAWBの真空技術×測定技術とものづくりへの応用~DLCの応用~」今井裕一氏(ストローブ)…プラスチック容器の半製品にインラインでDLC成膜でき、成形とDLC成膜を同じタイミングでバッチ処理可能な高効率生産を実現できるシステムを紹介。現状のプラスチック容器の成形ラインに組込みが可能とした。また、においやプラークが付きにくい義歯用DLC膜の成膜装置やDLC膜の臨床試験結果などについて紹介した。さらにePTFE製人工血管内へのDLC成膜技術について紹介した。
講演を行う今井氏講演を行う今井氏

・「レーザ肉盛の基礎」山口拓人氏(大阪産業技術研究所)…局所的な処理でエネルギー効率が良好で熱による劣化が少ない、急速な加熱が可能、処理後は自己冷却作用により急冷され組織の微細化が可能といったレーザ表面改質の特徴について解説したのち、粉末やワイヤ状態の材料をレーザで溶融させながら基材上に肉盛していくレーザ肉盛について、同軸ノズルの普及によってその応用開発が加速している現状を述べた。同研究所に導入されたレーザメタルデポジションシステムの紹介と同システムを用いたステライト6のレーザ肉盛を中心とした基礎実験と、形成された肉盛層の断面形状の制御性や組織・成分・硬さ分布の分析、希釈による影響、レーザ肉盛の製品への適用イメージなどを紹介した。最後に割れやポロシティといった課題を示した。
講演を行う山口氏講演を行う山口氏

・「溶射技術の最新動向」和田哲義氏(エリコンメテコジャパン)…溶射の原理、溶射材料の種類とフレーム、アーク、HVOF、プラズマ、減圧プラズマといった各溶射プロセスの特徴、航空機や発電、自動車などでの溶射技術の応用例について概説した。また、従来のコーティングの不均一性やパワーを制約するガン寿命などの従来の単電極プラズマガンの問題点を解決するカスケードアーク型プラズマガンの高スループット性や燃料電池への適用事例や、高効率HVOF溶射ガンを用いた自動車シリンダーボアコーティングの技術と密着性を高める前処理技術などを紹介した。さらに新技術開発-複合技術として、微粉の溶射を可能にするサスペンションプラズマ溶射などを紹介した。
講演を行う和田氏講演を行う和田氏
第11回合同研究会のもよう第11回合同研究会のもよう