神戸製鋼所とめっき専業会社である高秋化学は、大阪府立環境農林水産総合研究所と共同で、神戸製鋼所が2001年に開発した高機能抗菌めっき技術である「KENIFINE(ケニファイン)」を用いて水耕(養液)栽培向けに新たな防藻資材を開発した。同品の使用により、使用しない場合と比較し、藻の発生面積が1/10以下となる。
ケニファインは、従来の抗菌技術(抗菌塗装・抗菌ステンレスなど)と比較し、10倍以上の滅菌スピードを持つ。今回、ケニファインを用いた農業用資材の開発・販売は初めてとなる。
神戸製鋼では2013年に大阪府立環境農林水産総合研究所らと農業分野におけるケニファインの抗菌性や防藻性を検証し、水耕(養液)栽培の衛生管理手段として有効であることを確認した。ただし、ケニファインから溶出するニッケルイオンの作用により作物の生育への影響が認められたことから、本格的な利用には病原菌や藻の抑制効果に加え、作物の生育へ影響しない様にする必要があった。
そこで2015年から、神戸製鋼所、高秋化学および大阪府立環境農林水産総合研究所の3者で、ケニファインを使用した農業資材の実用化に向けた共同研究を行った。研究ではケニファインから溶出するニッケルイオンの影響を極力抑える様な最適形状、配置場所などについて実証試験を重ね、その結果、ケニファインめっきを施した金属または樹脂製資材を栽培槽と栽培パネルの境界部に設置することを特長とした新たな防藻資材を開発した。これにより、藻の抑制を効果的に発現しつつ、同時にニッケルイオンの溶出による作物の生育への影響も無くすことに成功し、今回、実用化に至った。
栽培層における藻の発生の様子