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SEMICON Japan 2024

 

日本工作機械工業会、JIMTOF2018を開催、工具へのコーティングやブラストなどの表面改質技術が展示

 日本工作機械工業会は11月1日~6日、東京都江東区の東京ビッグサイトで、「JIMTOF2018 第29回日本国際工作機械見本市」を開催した。出展社数、出展小間数がともに過去最大規模となる今回は、「未来へつなぐ、技術の大樹」をテーマに、工程集約型の5軸加工機やアディティブ・マニュファクチャリング(AM)との複合加工機、ロボットと連携した自動加工機などが多数展示されたほか、主催者の企画展示として会場を一つの工場に見立て72社・約300台の工作機械を産業用データ通信規格「OPCUA」ベースのプラットフォームでつなげた。
会場となった東京ビッグサイト会場となった東京ビッグサイト

 こうした中、それら工作機械の部品や使用される工具へのコーティングや熱処理、ブラスト・ショットピーニングなど、以下のような表面改質技術が多数披露された。

 IHIのブースでは、IHI Hauzer Techno Coating B.V.日本支店がPVD/PACVD装置、IHIイオンボンドが受託コーティングサービスおよびCVD装置などを紹介、IHIグループの最新の表面処理技術を披露した。IHI Hauzer Techno Coating B.V.は、スパッタリングプロセスにおいて高エネルギーパルスバイアス電圧を印加することで、緻密で平滑、高硬度な膜が得られる技術として同社の第3世代HiPIMS技術を紹介。現在のところ、同技術による水素フリーDLC(ta-C:テトラへドラルアモルファスカーボン)膜の開発は完了しており、従来以上のハイパワーで量産に適用できる成膜速度を実現しているという。今後、窒化物コーティングの開発が終わり次第製品化を行うという。IHI Ionbond Japanは、切削工具向けのAlCrNベースの多層構造を持つ「Crosscut Plus」や高性能TiAlNコーティング「Maximizer Plus」のほか、窒化処理なしで各種ハイテン材のプレス金型向けに耐疲労特性と低摩擦特性を付与する「Ionbond 90 Concept」と、アルミダイカスト金型向けに耐焼付き性を向上する「Ionbond 35 CrWN」などを紹介した。
IHIのブースIHIのブース

 厚地鉄工は幅500mm、奥行き400mm、高さ675mmと同社がラインナップするブラストキャビネットシリーズにおいて最小で作業現場の省スペース化を実現する「BM-1」の実機を用いて切削工具などに対するデモを行った。また、直接見ることのできないパイプ製品の内面をブラストする専用機「AR型」も紹介。標準機でパイプの寸法200~800(φm/m)まで対応しており、それ以外のパイプ寸法は特殊機で対応が可能だという。このほか、ブラスト作業の自動化などについても提案を行った。
厚地鉄工「AR型」厚地鉄工「AR型」

 大塚電子は、顕微分光を用いた微小領域での絶対反射率測定により、形状のある実サンプルのDLC膜の厚みを測定時間1秒/ポイントの高速で高精度に測定できる顕微分光膜厚計「OPTM series」を紹介した。また、最短5msで分光スペクトル測定ができ、標準装置のオプティカルファイバーによってサンプル種を特定することなく様々な測定系に対応が可能な、紫外~近赤外領域対応のマルチチャンネル分光器「MCPD-9800/6800」を展示した。
大塚電子「OPTM series」大塚電子「OPTM series」

 神戸製鋼所は、少量多品種生産に適した小型で低価格のAIPコーティング装置「AIPocket」を展示した。最新のアーク蒸発源であるSFC(Super Fine Cathode)や最新エッチング機構を搭載し、ターゲットの交換作業に配慮した設計により、素早い膜種の変更が可能。さらに真空排気システムを最適化し1バッチ3時間を実現、少量多品種生産で高い生産性を実現する。同社システムに接続することで遠隔でトラブルシューティングのサポートが可能になるという。また、すべての構成機器をワンフレーム内に納めたオールインワンパッケージにより、約2畳分という省スペース化を実現し、納入後2~3日程度の短期間での生産立ち上げが可能となっている。
神戸製鋼所「AIPocket」神戸製鋼所「AIPocket」

 CNKは、工場の製造ラインで加工物の自動搬送を行うオートローダや切削、研削加工で発生する切りくずを除去し、ろ過するクーラントシステム、材料に力を加えて盛り上げ、刃具の形を転写して塑性加工を行う転造盤などを取り扱う機械装置部門、浸炭焼入れ、高周波焼入れ、ガス軟窒化、DLCコーティングなどの受託加工を行う金属表面改質部門、パワーステアリング用ラックシャフトのほか、ピニオンシャフト、シャフトカップリングなどの自動車部品の熱処理および前後工程をトータルで一貫加工を行う自動車部品部門の三つの部門の事業紹介を行った。
CNKのブースCNKのブース

 新明和工業は、難削材の切削工具などの耐摩耗性を高める膜を高密着に成膜できる「熱フィラメントCVD方式」のダイヤモンドコーティング装置について、2019年4月から販売を開始することを発表。同社のイオンエッチング装置が超硬素材上のほぼすべてのコーティングを超硬素材にダメージを与えずに除去できることから、ダイヤモンドコーティングの成膜・脱膜という超硬工具の再生に必要な技術を一貫して提供できると謳った。
新明和工業「ダイヤモンドコーティングサンプル」新明和工業「ダイヤモンドコーティングサンプル」

 日本エリコンバルザースは、切削工具向けコーティングで豊富な実績のあるPVDコーティングシステム「INNOVA」の後継シリーズ「INNOVENTA」を世界初披露した。実機が展示されたINNOVENTA kilaはINNOVAと同様のサイズながら積載容量が20%増加し、メンテナンスの手間を軽減。万能なマグネットシステムにより均質なコーティング、優れたヒーティングおよびエッチングテクノロジーにより高密着性を実現する。また、受託加工では、カラフルなコーティングにより工具タイプやグループごとに独自色を割り当てることができ、膜の摩耗度合いも即座に認識できる機能性を備えた「BALIQ UNIQUE」を紹介した。
日本エリコンバルザース「INNOVENTA kila」日本エリコンバルザース「INNOVENTA kila」

 日本精工は、浸炭/高周波焼入れで耐久性を付与したボールねじ転走面表面に対し、さらにショットピーニングにより微細なディンプルを施すことで、油膜形成能力を高めた「高精度・長寿命ボールねじ」を紹介した。油膜が形成されにくい低速・揺動・小ストロークでの検証運転では、現行品に対し予圧残存率で3倍の摩耗抑制効果を発揮。油膜形成能力向上で、溝と鋼球同士の接触による摩耗の抑制も実現、位置決め精度寿命の長期化を実現した。
日本精工「高精度・長寿命ボールねじ」日本精工「高精度・長寿命ボールねじ」

 ヤマシタワークス/日本スピードショアは、各種金型部品の磨き時間短縮、切削工具の寿命延長、DLCなどドライコーティング成膜の前後処理など、様々な用途で使用が可能な鏡面仕上げ装置「エアロラップ」を展示した。今回はロボットを組み合わせたシステムを披露。ロボットがワークを把持して装置キャビン内の加工部まで搬送し、ワーク全面が加工されるように装置内でワークを回転、加工後は装置外に取り出すという自動化を実現できる。
ヤマシタワークス/日本スピードショア「エアロラップ」ヤマシタワークス/日本スピードショア「エアロラップ」