日立金属は金属積層造形(金属3Dプリンタ)用に、同社が開発した高耐食ニッケル基合金「MAT21」を金属粉末化するとともに、それを用いた金属積層造形のプロセス条件を見出し造形に成功した。半導体製造装置や化学プラントなど高い耐食性が要求される部材において、積層造形によるニアネットシェイプで提供が可能となり、信頼性向上や長寿命化、低コスト化が期待できる。
MAT21を用いた積層造形品
MAT21はクロム、モリブデン、タンタルを添加することで耐食性を高めており、半導体製造工場や化学プラントなどの耐食性が重要視される分野では、高特性を持つ合金として注目を集めている。一方で、加工難度が高いため切削加工では生産性に課題があることや、また、鋳造では複雑な形状が得られる一方で、合金成分を均質化することが困難だったという。
今回、真空ガスアトマイズ法を用いてMAT21を金属粉末化。その粉末を金属積層造形し評価した結果、MAT21鍛圧材と同等の耐食性を持ち、かつ強度と硬度に優れることが確認できた。
高い耐食性を維持したまま金属積層造形ならではの自由な設計や周辺部品との一体化、ニアネットシェイプでの提供が可能になることから、半導体製造装置や化学プラント用部材の信頼性向上や長寿命化、低コスト化が期待できる。