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SEMICON Japan 2024

 

ASTEC/SURTECH2019など開催、コーティングや表面試験・評価技術が集結

 「ASTEC2019 第14回 先端表面技術展・会議」や「SURTECH2019 表面技術要素展」、「nano tech 2019 第18回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」など13の展示会が、1月30日~2月1日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催、43622名が来場した。

 ASTECとSURTECHでは、DLCコーティングやセラミックコーティング、めっきなどの表面改質技術、摩擦摩耗試験機やスクラッチ試験機、表面張力・形状・粗さ測定機などの表面試験・評価機器の展示が多数見られ、以下のような展示を行った。

 分析・評価機器を専門に取り扱う韓国・RM Techは、自社製の画像検査装置、スクラッチ試験機や摩擦摩耗試験機、残留応力試験機、コーティング厚さ測定機を紹介。実機によるデモンストレーションを行った画像検査装置「ROLLER INSPECTOR」は、自動車部品やグラビアロールなどのコーティング表面に存在する欠陥(スクラッチ、ピンホール、はく離、染み、摩耗、不完全なパターンなど)を自動でカメラ撮影から判定までを迅速に行える。また、欠陥の有無だけでなく傷や圧痕などの面積や深さを記録することも可能。小さいものであれば1秒程度で測定が終わるため、自動車部品の製造ラインに組み込むことも可能だという。韓国ではDLCコーティングやクロムコーティングなどの欠陥検査で実績があり、同装置を応用してピストンピンの自動検査に適用されているという。各種分析・評価機器の日本での販売はパーカー熱処理工業が行う。
RM Tech「ROLLER INSPECTOR」RM Tech「ROLLER INSPECTOR」

 大塚電子は、希薄溶液~濃厚溶液でのゼータ電位・粒子径測定や分子量測定が可能なゼータ電位・粒径・分子量測定システム「ELSZ-2000」を展示した。幅広い濃度範囲(0.00001%~40%)で平板ゼータ電位測定に対応するほか、0~90℃の幅広い温度範囲での変性・相転移温度解析が可能。今回は本装置による、セルロースナノファイバーの軽量・高強度・透明性などの特性を発揮させるための分散性の評価を提案した。
大塚電子「ELSZ-2000」大塚電子「ELSZ-2000」

 協和界面科学は、レンズや眼鏡、フィルムなどの透過材料や鏡などの曇り度合いを定量的に評価する防曇性評価装置「AFA-2」の実機を展示。同装置は固体試料の温度を‐5~60℃、湿度を5~70%に制御することにより、サンプルや風景画を背景として、透過性材料や鏡が曇ったり晴れたりする過程を数値化する。装置を水平または90度回転して設置することができることから実際の状況を想定した環境で評価が可能。コーティングなどの表面処理やフィルムを貼った時の評価対象物の加工前後の防曇評価や、異なる表面加工による防曇性能の比較が数値で表れることから、スポーツ用ゴーグルやカメラレンズ、浴室用鏡などの製造メーカーに導入されているという。
協和界面科学「AFA-2」協和界面科学「AFA-2」

 新東科学は、一つの試験片で荷重を変えた摩擦摩耗試験が1回の測定で可能になる従来の摩擦摩耗試験機に、ステップ運転モードと直交バランスアーム方式を追加した新製品「HHS2000S」を披露した。同試験機は、一つのサンプルに複数の試験を予めプログラムした動作条件にて自動で行えるステップ運転モードを搭載。1度目の試験後に自動で測定子をピックアップしY方向ステージを動かし新たな位置から2度目の試験が行える。また、摩擦力を測定する荷重変換機を測定子直上に配置し、不要な機構を排除したことにより高いレスポンスとセッティングの誤差が極力ないように工夫した。さらに、試料テーブルの摺動方向をアームに対して直交させ、摩擦の際の往路と復路における荷重変動をなくしたことでデータのばらつきがない信頼性の高いデータが得られるという。
新東科学「HHS2000S」新東科学「HHS2000S」

 トリニティーラボは、精度・耐久性を向上し、機能をより充実させたトライボロジー・ハプティクス向け静・動摩擦測定機「TL201Tt」について、スマホのフィルム評価をイメージした展示を行った。直線摺動部にボールねじ仕様の高精度アクチュエータを採用することで、長時間の耐摩耗試験、低摩擦測定、激しいスティック&スリップ測定にも精度良い測定結果が得られることなどをアピールした。
トリニティーラボ「TL201Tt」トリニティーラボ「TL201Tt」

 ナノテックは、DLC膜を機能別、用途別に分類した「ICFコーティング(真性カーボン膜)」を紹介するとともに、大電力パルススパッタリング(HiPIMS)法によって水素フリーICF膜を660nm/minの超高速で成膜できるRoll to Roll装置の実機を展示した。また、薄膜等に対して回転する鋼球で試料を研磨し、その研磨痕を光学顕微鏡などで測長することにより膜厚を測定する簡易膜厚測定機「オートクレーター」を紹介。同測定器を改良して開発された液体・粉体の回転式混合装置「オートミキサー TK-MS02」や、摩擦摩耗試験やスクラッチ試験、分光エリプソメトリ測定などの受託分析業務、それぞれの試験で使用できるDLCコーティング基準片の販売を行っていることも周知した。
ナノテック「(左から)DLC基準片、「TK-MS02」、「オートクレーター」ナノテック「(左から)DLC基準片、「TK-MS02」、「オートクレーター」

 レスカは、コーティング膜の摩擦摩耗に大きな影響を与える湿度を20~80%の間で制御して摩擦係数が測定できる試験機「FPR2200」を展示。湿潤環境で摩耗しやすい材料や膜などの研究開発、品質管理に適している点などを訴求した。同試験機は、乾式200℃・湿式130℃と高温下での測定や、溶液セルを回転ステージに取り付けることで溶液中での測定が可能になる。1台で回転・円周上往復摺動・螺旋・直線摺動測定が可能なため、様々なケースを想定して摩擦係数を取得することができる。同社では、併せてナノレベルの薄膜の密着性を定量的に評価する超薄膜スクラッチ試験機「CSR5000」の展示も行った。
レスカ「FPR2200」レスカ「FPR2200」

 会期中の2月1日にはセミナー会場で、東京理科大学の佐々木信也教授のモデレータのもと、トライボロジーに関する先端企業や研究機関の専門家11社・団体が参加してのパネルディスカッション「トライボロジーにおけるオープンイノベーションの課題と将来」が開催された(主催:潤滑通信社)。

 テーマはオープンイノベーションと標準化の重要性、ラボの紹介と必要性、共創と競争の両立、など。いずれも佐々木教授をモデレータとして、テーマ1「オープンイノベーションと標準化」ではアントンパール・ジャパン、エリオニクス、産業技術総合研究所、東陽テクニカ、ナノテック 、レスカがパネリストとして参加し、テーマ2「トライボロジーの新たなビジネスモデル」では協和界面科学、三洋貿易、島貿易、新東科学、トリニティーラボがパネリストとして参加して、討論を行った。
パネルディスカッションのもよう
パネルディスカッションのもようパネルディスカッションのもよう