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SEMICON Japan 2024

 

理研、埼玉大など、環境に優しい有機薄膜太陽電池の実用化に向け技術研究組合設立

 理化学研究所( http://www.riken.go.jp/ )と埼玉大学( http://www.saitama-u.ac.jp/ )は1月24日、黒金化成、FLOX、VCADソリューソンズら5社共同で、「新世代塗布型電子デバイス技術研究組合」を設立した。理研や埼玉大学が保有する有機エレクトロニクスに関する研究成果の早期実用化を目指して、理研和光研究所内に初めて技術研究組合を設立した。

 技術研究組合とは、産業活動で利用される技術の向上および実用化を図るため、これに関する試験研究を協同で行うことを目的とした技術研究組合法(昭和36年5月6日法律第81号)に基づき設立する組織。

 この組合では、ナノサイズの構造体が形成可能で、なおかつ低コストで製造できる静電塗布法※1を利用して、薄膜形成技術の研究開発を行う。また、資源循環型材料として期待される有機半導体を利用して、薄膜太陽電池に向けた新規有機材料の製造方法開発にも取り組む。これらの技術により、製造エネルギーを大幅に低減し、水性有機半導体コロイド※2などを用いた環境負荷の小さい有機薄膜太陽電池など、新世代塗布型電子デバイスの開発を行っていく。

※1静電塗布法:サンプル試料を充填したガラスキャピラリーに電圧を印加すると、アースに接続した基板との電位差により、キャピラリー先端から正荷電した微細な液滴が電場に沿って基板へ運ばれ、基板上の導電体に積層される。2011年埼玉大学は、静電塗布法で成膜した有機薄膜太陽電池がスピンコート法に匹敵する性能を示すことを報告した。理研は、スピンコート法では不可能だった粘度の極めて低い水系コロイドなどの薄膜作製に静電塗布法を利用する研究を行っている。

※2水性有機半導体コロイド:導電性高分子やフラーレン誘導体などの有機半導体材料をナノ粒子化し、水中に分散させると得られるコロイド溶液。静電塗布法で成膜することで高性能な半導体薄膜が得られるうえ、有害な溶媒を使用しないため製造時の安全性を改善できる。