「トライボロジー特性のデファクト標準に関する研究会」(主査:東京理科大学・佐々木 信也氏、副主査:産業技術総合研究所・間野大樹氏、幹事:パーカー熱処理工業・設備営業部)は3月13日、東京都葛飾区の東京理科大学で「SRV®ラウンドロビン試験報告会」と「第9回SRV®ユーザーズミーティング」を開催した。
開催のもよう
振動摩擦摩耗試験機「SRV®」はドイツなど欧州、日本、中国などにおいて、潤滑剤や自動車向けトライボロジー試験機のデファクトスタンダードとなっているが、各ユーザーでの試験データのばらつきを検証すると同時に、信頼性の高い評価データを得るための試験方法を決める際の重要な判断材料として「ラウンドロビン試験」が実施・活用されている。近年ではさらに、新しい材料や潤滑剤、あるいは特殊な摺動条件など、産業界の要請に応じたASTM(米国試験材料協会)、ISO(国際標準化機構)などの標準試験方法を策定することも視野に入れ、その試験内容が検討されている。
当日は午前中に、SRV®試験機の製造元Optimol Instruments Prüftechnik社(Optimol社)とドイツ連邦材料試験研究所(BAM)が立ち上げた、SRV®試験機を用いた国際ラウンドロビン試験に関する報告会が行われた。
午後にはまた、Optimol社CEOのGregor Patzer氏から、「アプリケーション指向の試験機」としてユーザーの実部品を実使用に近い環境で試験でき、正確で再現性の高い試験結果が得られる最新機種「SRV®5」について、オシレーションセットアップおよびローテーションセットアップと、オシレーション・ローテーション両方の動きを模擬でき実部品で評価できる「Combi-Drive」による、工業用オイルやグリース、自動車部品、ベアリングなどの試験評価事例が紹介された。また、新しい評価法として、ギヤ油の評価におけるFZG試験、グリースの評価におけるFE8試験など、試験時間が長くコストのかかる各種試験法の試験時間を短縮し開発コストを削減できる「スクリーニング試験」としてのSRV®試験の有用性について試験データをまじえて示し、活用を提案した。さらに、二つのディスクを独立制御でき高荷重下での転がり接触における潤滑剤やコーティングなどの試験に最適な新開発「二円筒式摩擦摩耗試験機」を紹介。転がり接触下での摩擦力となじみ効果の可視化評価や疲労ダメージ進行の評価などが可能と謳った。
講演を行うOptimol社CEO Gregor Patzer氏(右)と通訳を務めるパーカー熱処理工業・越智直行氏(左)