日本金属熱処理工業会( http://www.netsushori.jp/ )は6月6日、東京都港区のWTCコンファレンスセンターで「第61回定時総会」を開催した。
会の冒頭、挨拶に立った原 敏城会長(メタルヒート 代表取締役)は「米中貿易摩擦の影響が少なからず出てきていると実感している。また、今年控えている選挙や為替の問題、今後の日米交渉など、当たり前の話ではあるが政治が経済に与える影響の大きさを感じている。いずれにしても熱処理業界としては、こうした変化に対応してものづくりをしていかねばならない。今後、より一層我々の活動を強固なものとし、ものづくりの原点に立ち返って日々の業務にあたらなければならないと思う」と述べた。続いて、経済産業省 素形材産業室 企画調整・素形材製品二係長の比良文香氏が来賓挨拶を述べた後、原会長を議長に選出して議事が進行された。
挨拶する原会長
議事においては、2018年度事業報告・収支決算報告が行われた後、2019年度事業計画・収支予算について審議、満場一致で可決された。事業報告では、金属熱処理の技能検定要素試験において2019年度から1級技能検定で顕微鏡や硬さ試験機を用いた実技試験の再開が決定したことや、開発途上国に対して技能、技術、知識を移管する「外国人技能実習制度」に金属熱処理職種の認定を得る作業を開始したこと、ワーキンググループを立ち上げ一般社団法人化に関して2020年度発足を目標に本格的な作業を開始したことなどを報告した。事業計画では、技術委員会でガス熱量バンド制や労働安全衛生、BCPなどに関することを検討することや、マーケティング委員会で購入品価格調査や素形材取引に関する自主行動計画および素形材産業取引ガイドラインのフォローアップに関することなどを検討することなどを確認した。
任期満了に伴う役員改選では、新会長に嶋崎利行氏(島崎熱処理 代表取締役社長)、副会長に原 敏城氏、大山照雄氏(TONEZ 代表取締役社長)が選任された。
総会終了後は懇親会が開催され、挨拶に立った嶋崎新会長は「関東・甲信越・北海道を東部金属熱処理工業組合(嶋崎利行理事長)、中部地区を中心とした中部金属熱処理協同組合(原 敏城理事長)、関西から西を西部金属熱処理工業協同組合(大山照雄理事長)として、この3地区の上に当工業会があり、会員数は約200社である。当工業会は歴代の会長によって素晴らしい業界として脈々と受け継がれている。私は東部に所属しているため、とりわけ田村捷也元会長に様々なご指導とご薫陶を受けてきた。また今回、私のような若輩者が会長職を受けて良いのだろうかと逡巡したが、西部の川嵜 修元会長に“大丈夫や。立場が人をつくる。がんばれ!”と激励の言葉をかけていただいた。それは私のこれからの支えとなる言葉だ。本日、川嵜元会長は当工業会の顧問に就任された。これからも田村顧問とともに、ますますのご指導とご薫陶を我々全員に与えていただけることを強く願っている。我が業界は今まさに苦難の時代を迎えつつある。しかし、金属熱処理技術は日本産業の基盤であり要であると確信している。会長として今後何ができるかをしっかりと考えて、業界の利益にかない、なおかつ我が国産業を支える業界にしていきたいと思っている」と述べた。
挨拶する嶋崎新会長