JASIS2019開催、ナノインデンターなど表面試験・評価機器が展示
日本分析機器工業会と日本科学機器協会は9月4日~6日、千葉市美浜区の幕張メッセ国際展示場で、分析機器・科学機器の総合展示会「JASIS2019」を開催した。478社、1423小間の規模で出展、3日間で23409名が来場した。ここでは表面試験・評価に関する製品・技術展示について紹介する。
アメテック ザイゴ事業部は、白色干渉計「ZYGO NexViewシリーズ」を紹介した。垂直方向、水平方向ともに、nmレベルから、繋ぎ合わせによるmmレベルまでの広範囲の多種多様な材料の表面凹凸に対応。計測器制御、解析、自動化計測を可能にする自社製Mxソフトウェアによって膜厚解析から体積評価、周波数解析、微分解析まで、用途に応じた多様な解析が可能。また、透明膜の膜表面、膜厚変化、界面のデータを同時取得、50nm以上の膜厚を顕微鏡視野で測定できる。非球面レンズ対応モデル、大型ステージモデル、OEMヘッドモデルなど使用用途に応じた様々なモデルをラインナップしている。
アメテック スペクトロ事業部は、蛍光X線分析装置「SPECTROCUBE」を紹介。下からX線をあてる下面照射方式を採用、サンプルを置くだけで分析の準備が完了する。分析スポット径は最小0.2mmに対応。自社製の最新高速/高計数率シリコン・ドリフト(SDD)検出器を採用、このクラスの他の装置と比較し、同程度の精度を維持しながら約2倍の速さで分析できる(1サンプルあたりわずか15秒で分析が完了)。分析ビギナーでもすぐに使用できるような設計となっており、専用ソフトは一つの画面に関係するすべての情報が見られるようにデザインされ直感的な操作を実現。
大塚電子は、顕微分光を用いた微小領域での絶対反射率測定により、形状のある実サンプルのDLC膜の厚みを測定時間1秒/ポイントの高速で高精度に測定できる顕微分光膜厚計「OPTM series」を紹介した。今回、インライン市場での適用を広げる目的で、インラインで使いやすい「OPTMリニューアル」を開発、披露した。コントロールボックス内の市販部品を小型化し、基板実装できるものは顕微膜厚ヘッドに実装し内製基板化したことで、コントロールボックスの削除と外部配線の簡素化を達成、設置スペースの削減を実現した。また、ランプの長寿命化を行うことでメンテナンス頻度を抑えることができ、メンテナンス性の向上を実現した。さらに、誰でも簡単に精度よくオートフォーカス条件を作成できる機能、“オートフォーカス条件自動作成機能”を開発し、オートフォーカス機能の改良を実現できた。
新東科学は、一つの試験片で荷重を変えた摩擦摩耗試験が1回の測定で可能になる摩擦摩耗試験機「HHS2000S」を展示した。一つのサンプルに複数の試験を予めプログラムした動作条件にて自動で行えるステップ運転モードを搭載。1度目の試験後に自動で測定子をピックアップしY方向ステージを動かし新たな位置から2度目の試験が行える。また、摩擦力を測定する荷重変換機を測定子直上に配置し、不要な機構を排除したことにより高いレスポンスとセッティングの誤差が極力ないように工夫した。さらに、試料テーブルの摺動方向をアームに対して直交させ、摩擦の際の往路と復路における荷重変動をなくしたことでデータのばらつきがない信頼性の高いデータが得られる。
東陽テクニカは、KLA 社製の超高分解能 薄膜機械的特性評価装置「iNano」を紹介した。極低荷重を高精度かつ安定に発生させるInForce50型押込みヘッドを搭載、ナノメートルオーダーの薄膜や樹脂などのソフトマテリアルの薄膜の硬度・ヤング率を測定できる。さらに、動的押込み試験による硬度・ヤング率の深さプロファイル測定やナノスケールの動的粘弾性測定、硬度・ヤング率の3次元イメージングなど、多機能な薄膜機械特性評価装置であることをアピールした。
ブルカージャパンは、硬さ・ヤング率測定、ナノDMA粘弾性特性、ナノスクラッチ密着強度測定、ナノウェア摩耗特性評価、SPM Imaging 表面形状像取得、その他破壊靱性、応力緩和測定など幅広い測定に対応する「Triboindenter TI980,」や、SEMやTEMといった電子顕微鏡に組み込むことにより、試料の変形や破壊の挙動をリアルタイムで観察できる「電子顕微鏡組み込み型 ピコインデンター」などを紹介した。
堀場製作所は、計測ユーザーの困りごとに対する様々なソリューションを「インライン・オンライン」、「効率化(働き方改革)」、「イメージング」、「Dedicatedサンプル」の四つのカテゴリーに分けてカスタマイズ化した分析・計測機器の実例などを紹介。リアルタイムに分析したい、全数検査したいといった「インライン・オンライン」に関する要望に対しては「めっき液中元素インライン分析装置」など、非破壊で測定したい、希釈せず原液で測定したいといった要望に対しては「ナノ粒子解析装置」などのカスタマイズ化した製品・ソリューションを用意していることを示した。
レニショーは、「inVia™ 共焦点ラマン顕微鏡」を展示した。効率の高い光学系により、極微量の物質や大量の物質から、最高のラマンデータが得られる。高感度で弱い信号も検出できるほか、データを高速取得できる。高レベルの共焦点性により高い空間分解能を実現、極微細な形状の確認が可能。高品質、高分解能のスペクトルを取得できるほか、測定に合わせた最適な構成の選択が可能。常に繰り返し精度の高い結果を取得が得られる。小さなサンプルや大きなサンプル、また各種環境条件下でサンプルを調べるオプションを用意。総合的なマッピング・イメージング技術の搭載により、2D領域でも3D空間でも情報にあふれた詳細なラマンイメージを生成できる。