パーカー熱処理工業(https://pnk.co.jp/)は11月27日、川崎市川崎区の同社川崎事業所で「SRV®5」の新しい試験コンセプトのデモンストレーションを目的としたアプリケーションセミナーを開催、ユーザー企業約20社が参加した。SRV®5は同社が取り扱うOptimol Instruments Prüftechnik社製振動摩擦摩耗試験機「SRV®」の最新機種。
当日はまず、Optimol Instruments Prüftechnik社CEOのGregor Patzer社長が、揺動試験、回転試験、さらには実部品を試験片に各種運動を組み合わせての「Combi-Drive」試験のそれぞれの自由度の高い試験セットアップによるギヤ油やグリース、加工油、MTF、添加剤、エンジン部品、高温用すべり軸受など様々なアプリケーションについて、実使用に近い環境での試験が可能なことを紹介。
続いて、転動試験片を使用したグリース評価用試験セットアップを組み込んだSRV®5による、グリース向け回転摩擦評価法のデモンストレーションが実施された。
また、Optimol Instruments Prüftechnik社のChristoph Baumann氏より、SRV®5のオプションであるアコースティックエミッション(AE)測定を利用して、潤滑下および無潤滑下での硬質薄膜DLC(ダイヤモンドライクカーボン)の品質評価やスクリーニング試験が可能なことが紹介。続いて、SRV®5によるAEを利用した硬質薄膜評価法のデモンストレーションが実施された。
さらに今回は、よりインタラクティブなセミナーを提供する観点から、SRV®ユーザーである二人の講師から以下のとおり講演がなされた。
・「SRV®を用いたエンジンピストン摩擦における潤滑油添加剤性能の評価」山本賢二氏(ADEKA)…SRV®による摩擦試験結果は実車燃費試験や浮動ライナーによるピストン摩擦評価結果とよく一致しており、潤滑油の燃費性能評価の一次試験として有効と考えられる、とした。
・「SRV®を用いたDLC膜のはく離特性評価」間野大樹氏(産業技術総合研究所)…DLC膜の耐はく離性評価にSRV®を適用した結果、ワイブル分布に基づく統計処理により、はく離荷重の代表値を推定し膜のはく離特性を評価する手法を開発。開発した手法により、他の硬質薄膜のはく離特性についても評価できたほか、AE法の適用により、はく離の進行過程の違いによって生起している微細な損耗減少が異なることを明らかにできた。
今回はいずれもSRV®ユーザーによる講演だったことから、両講師の講演後のQ&Aセッションにおいて、参加したSRV®ユーザーや同試験機の導入を検討している参加者を含めた活発な議論が行われた。