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第9回ものづくりワールド名古屋

 

DLCの医療応用を目指し「日本医用DLC研究会」設立

 DLC(Diamond-like-carbon)コーティングの基礎医学・臨床医学への応用を目指す研究者の情報交換の場として「日本医用DLC研究会」(Japanese Association for DLC Medical Application:JADM、 https://www.dlc-med.org/ )が8月に設立、初代理事長に岡山理科大学 フロンティア理工学研究所の中谷達行教授が就任した。

 同研究会は、DLCコーティングの基礎医学・臨床医学への応用を目的とした研究を行っている研究者間の情報交換の機会を提供し、DLCの医療応用研究の発展に寄与することを目的としている。DLCの医療応用はこれまで工学領域の研究者が主体で研究してきたが、医学との連携が充分であったとは言えない状況だった。また、医療応用を目的とした医師主導の研究はまだ黎明期の段階であり、医療応用についての知見を交換する場なども少ない。新たに設立された同研究会は医用DLCに関連する諸問題を研究するとともに、基礎医学・臨床医学への応用を目指す研究者の情報交換の場を作ることで、DLCの医療応用に関する理解を深め、研究の発展に寄与していくことを目指す。

 中谷理事長は「DLCの医療イノベーションへの貢献は学際領域から生まれる。今回設立された日本医用DLC研究会がDLC研究の先生と若手医師・研究者との情報交換の場となり、DLCの医療応用が加速することを願っている」と述べている。


 現在、DLCの医療機器への応用については、DLC 膜の生体親和性、化学的安定性、金属イオンバリア性などの特徴が活用されている。成膜には、プラズマCVD法、イオン化蒸着法、陰極真空アーク法などが用いられ、冠動脈ステント、カテーテル、人工歯根、人工股関節、人工血管などへの応用が進められている。そのうち、冠動脈DLCステントは、純国産の医療用DLCとして商品化もされている。

日本医用DLC研究会 発起世話人会の有志会合のもよう(下段中央が中谷理事長)
日本医用DLC研究会 発起世話人会の有志会合のもよう(下段中央が中谷理事長)