スウェーデンのImpact Coatings社は先ごろ、 スロベニアの自動車部品メーカーHELLA SATURNUS SLOVENIJAからPVDコーティングシステム「INLINECOATER™」を受注した。受注額は70万ユーロで、自動車レドーム(レーダー・エンブレム)用コーティングの成膜が主用途。同社では本年1月にもスペインのZANINI AUTO GROUPからレドーム用コーティングの成膜用に「INLINECOATER™」を受注。受注総額は71万ユーロだった。
自動車の安全支援システムとして、自動車の前方から電波を照射し、前の車両や歩行者などに反射して返ってくるまでの時間によって車両と対象物との距離を検知する「ミリ波レーダー」があるが、自動車フロントのエンブレムの後ろにミリ波レーダーを置く場合、ミリ波が透過できるエンブレム、つまりレドームが用いられる。レドームの素材には樹脂が用いられ、自動車メーカー各社で特有の金属色のマークが描かれるが、ここを76.5GHzといったミリ波が通過する必要がある。そのため、エンブレム樹脂基板の内側(レーダー側)にインジウムなどで金属被膜を形成、ミリ波の透過を実現している。
同社のPVDコーティングシステム「INLINECOATER™」は小バッチの部品を短いサイクル時間で処理できる装置で、多目的に利用でき、高品質の成膜が可能。保守も迅速・簡単に行え、自動車をはじめ様々な産業分野でラインに組み込んで使われている。
同社では次世代車両向けコーティングとして、燃料電池車のバイポーラプレート用PVDコーティングも手掛けており、昨年12月には、SUV型燃料電池車「NEXO(ネッソ)」の販売を開始している韓国ヒュンダイと同コーティングの開発で協業を始めている。