JCU( https://www.jcu-i.com/ )は、プリント基板などのめっきパターン形成に用いる無機アルカリ系のドライフィルムレジスト(DFR: Dry Film Resist)はく離薬品を開発した。
DFRはく離薬品は、基板上に銅配線(回路)を形成する際に、型枠として使用した樹脂フィルム(DFR)を除去するための薬品。環境負荷の高い有機系のアミンに代わって無機系の薬品が使われるようになっているが、はく離性能と、廃液の排出基準指標であるCOD(化学的酸素要求量)の高さが課題となっている。そこで同社は、「ユーザーの工場内で廃液処理ができること」を目指し、微細な配線でのはく離性能と両立させた無機アルカリ系のはく離薬品を開発した。
具体的には、DFRに浸透性の高い成分を使用し、はく離性能を従来の無機系薬品より向上させたうえに、CODを同社従来品に比べ約15分の1に抑え、外部業者に委託せずに廃液処理をできるようにした。これにより、水質汚染の抑制に寄与している。
同品は、廃水規制が厳しくなることが予想される中国をはじめ日本、台湾、ベトナムなどへの拡販を目指す。まず年3億~5億円の売上を目標にシェア拡大を図るという。
工場内での廃液処理は、中和、凝集剤による沈降処理によって行う。水中の被酸化物質を酸化するために消費される酸化剤が少量で済む低COD薬品のため、業者に委託せずに処理することが可能となり、処理コストが低下する。同社はCSV(共通価値の創造)、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献を見据えながら、主力製品である硫酸銅めっき薬品に加え、半導体パッケージ基板、プリント基板製造に欠かすことのできない表面処理薬品のラインナップを強化していく。