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SEMICON Japan 2024

 

NTN、特殊熱処理技術で長寿命化を実現した円すいころ軸受

 NTN( https://www.ntn.co.jp/ )は、建設機械や鉱山機械など過酷な使用環境での用途向けに、特殊熱処理技術により耐異物性を強化し、異物混入潤滑条件下で標準品と比べて6倍以上の長寿命化を実現した円すいころ軸受「ETFA軸受」を開発した。

NTN「ETFA軸受」

 開発した「ETFA軸受」は、浸炭鋼に新たな熱処理(ETFA処理)を施すことで、異物混入潤滑条件下で、標準品と比べ6倍以上、ETA軸受と比べても2倍以上の寿命を持つことが確認されている。また、清浄油条件下においても、基本定格寿命に対して充分長寿命であることが確認されている。

 適用したETFA処理は、同社が開発した軸受鋼の特殊熱処理「FA(Fine Austenite Strengthening)処理」技術を浸炭鋼に応用したもの。FA処理は軸受鋼の旧オーステナイト結晶粒を従来の1/2以下(平均粒径で5µm以下)にまで微細化した特殊熱処理方法で、浸炭浸窒された組織を低温で二次焼入れすることにより、軸受を長寿命化できる。

 ETFA処理では、熱処理条件とその管理を改善・強化することで、ETA軸受と同様に、適度に炭化物と残留オーステナイトを分散させた組織としつつ、旧オーステナイト結晶粒を一層微細化し、長寿命と高いロバスト性(耐異物性)を両立している。長寿命化により、より小さいサイズで軸受寿命を維持できるため、装置のコンパクト化にも貢献できる。

NTN「特殊熱処理等による軸受の長寿命化」
特殊熱処理等による軸受の長寿命化

 建設機械や鉱山機械などは、運転時に強い衝撃や振動が発生すると同時に、軸受の内部に異物が混入するような過酷な環境で使用される。同社ではこれまで、こうした厳しい使用環境の建設機械や鉱山機械向けに、浸炭鋼を用いた円すいころ軸受の標準品「4Top」シリーズのほか、材料の変更や熱処理加工により長寿命化を図った「ETA軸受」を展開してきた。しかし近年は、建設機械はIoT化に伴う無人稼働機の信頼性向上やライフサイクルコストの削減が求められており、使用される軸受についても一層の長寿命化や装置のコンパクト化を図るための小型化・高負荷容量化が必要とされている。